意外な業態で
フリーミアムビジネスを発見!
みなさんは、「日本調剤」という会社をご存じですか? 同社は調剤薬局のチェーン展開を主要事業とする東証一部上場企業なのですが、一般にはあまりなじみがないかもしれません。
かくいう私も、日本調剤のことを知ったのは『週刊ダイヤモンド』(2010年3月13日号)の「FREE」特集に同社のビジネスが紹介されていたのがきっかけでした。記事によると、同社は勤務医の開業独立支援を無料で請け負い、医療モールを形成してそのモールに自社の調剤薬局を開設しているそうです。
医療モールはひとつのビルの中に内科や眼科など複数の科がテナントとして入居するもので、患者を紹介し合えるなど入居する医院にメリットがあると言われます。
しかし、なかには思ったほどの相乗効果が得られないケースもあるようです。一部の医療モールが不調なのは、医療モールを展開する医療コンサルティング会社などの場合、医院の開業サポートや設備の販売などで収益をあげているため開業後のフォローが手薄になることが理由のひとつではないかと思います。
日本調剤は医師の開業支援を無料にし、開業後に各医院から出される処方箋の調剤を行うことで収益をあげています。各医院との長い付き合いが生まれるため、開業後のフォローもしっかりでき、医療モール全体の活性化も図れそうです。
この仕組みを聞いて、ピンときた方もいることでしょう。そうです、日本調剤はベストセラーとなった『フリー』(クリス・アンダーソン著、NHK出版)の中で紹介されている“フリーミアム”というビジネスモデルを、巧みに活用している企業でもあるのです。
「これはすぐれたビジネスモデルだ」と感じて興味を持ち、ほかの事業についても調べてみたところ、同社の強みはまだまだほかにもありそうです。今回は、みなさんと一緒に日本調剤のビジネスモデルの全体像を見ていきたいと思います。使用するのは、企業のビジネスモデルを“見える化”し、儲ける仕組みを見抜く「ピクト図解」という手法です。