残された遺族の頼みの綱は
「メールチェック」と「パスワード」

 これまでに挙げた生前の準備は、お金関係のもの。つまり「遺族が知らなければならない情報」にまつわる対策だ。一方、異性関係を中心とした「遺族に知られたくない情報」については、以下のような準備が考えられるという。

「パソコンのソフトで『僕が死んだら……』というものがあります。これは、自分が死んだときに家族に見てもらいたいメッセージを用意するのと、同時に見られたくないファイルを指定しておけば、完全削除してくれるものです」(萩原氏)

 所定の操作をすると、デスクトップには「僕が死んだら……」というショートカットアイコンができる。自分が死んで、遺族がパソコンを開いたとき、このアイコンをクリックすればメッセージが流れ、残された家族に想いを伝えられる……そしてその裏では、指定した“家族には見られたくないファイル”を削除しているという仕組みだ。

 なお、ツイッター上では、デジタル遺品対策として「もっとも仲の良い友人にだけアカウントのパスワードを教えておいた」「自分に何かあったとき、指定のフォルダを消してもらうよう親友と約束している」という声もあった。 

 自分が死んでしまうケースでの対策は以上が主なものだが、一方で遺された遺族はどうすれば良いのか。繰り返しになるが、「見なければいい」という理論は通用しにくい。知っておかなければならない重要な情報がデジタル遺品の中にある可能性も考えられる。もちろん、画像や動画データをくまなく探す必要はないが、先に挙げたお金に関わるものだけは、最低限調べてみたほうがよいだろう。

 もしもそれらを調べる手がかりがまったくない場合は、「まずパソコンのメールをチェックするように」と萩原氏は言う。

「インターネットバンキングや資産運用は、取引があるとメールでそのお知らせをしてくることがほとんどです。ですので、故人が使っていたメールの受信ボックスなどを見ておくと、その人がどんな会社で取引していたかわかるはずです」

 とはいえ、パソコンにログインパスワードが設定されていれば、その時点で行き詰まってしまう。これについて萩原氏は、「パスワードがわからなかったら、もう一度よく故人とのコミュニケーションを思い出してほしい」という。

「よく振り返ると、過去に故人から電話で『パソコンの○○というファイルを見てほしい』『パソコンで調べてほしい』と頼まれた機会があったことを、思い出す人がいます。その際、パスワードを聞いている可能性もあるんですね。そうした記憶をもう一度炙り出すことが大切です」