リピーターを飽きさせないお金の使い方

 武蔵野のダスキン事業部のように、お客様を訪問して商品・サービスを売る戦略を「ミツバチ作戦」。反対に、飲食店やホテルなど、店舗をかまえてお客様を待つ戦略を「クモの巣作戦」と私は呼んでいます。

「クモの巣作戦」の場合は、店舗がいつも同じ風景だと、お客様が飽きてしまう。だから、リピーター客を飽きさせてはいけない。最低でも5年、できたら3年に一度は、内装を変えたほうがいい。

ハウステンボス、ディズニーランド、旭山動物園の共通点は何だと思いますか?

 お客様が飽きないように「利益を未来に投資」して、アトラクションや施設を常に新設していることです。

「壁紙を変えただけで、売上が10%上がりました。また、『飽きさせないこと』が重要なら、『メニューにも手を加えたほうがよいのでは』と考え、季節限定メニューを取り入れました。

 ホールスタッフは、お客様の注文を待っているだけではなく、『冬厳選食材を使った、広島産特濃生牡蠣 バター醤油焼が人気です』とお声がけをして、季節限定メニューの推奨販売をしています。クモの巣作戦でお客様をお店に呼び込んで、店内ではミツバチ作戦でおすすめメニューを売る、という目論みです」(金原社長)

 金原社長の狙いは、見事に的中。季節限定メニューは粗利益率を高くしているため、構成比は「売上全体の18%」にも及んでいます。

 経営は、「目先」にとらわれてはいけません。

「半年後、1年後、5年後にどうなっているべきか」を考え、今すべきことを「決定」するのが正解です。

 会社にとって重要なのは、「これから先も、存在し続けること」です。

 必要最低限の利益を確保したら、あとは未来に投資すべきです。
 極論を言えば、「今」はどうでもいいんです。たとえ、「今」儲かっていても、3年後に会社がつぶれたら、意味がない。そのことを念頭に置いて、お金のことを考えなければいけません。