「たった1回の読書」に期待しすぎなのでは?

◎あなたの積ん読も、これで解消!!
『遅読家のための読書術』(印南敦史・著)

さらにいえば、こういう考え方もできます。

1冊の本を1週間かけて熟読しても、1ヵ月後には「1%」しか残らないのだとしましょう。

だとしたら、同じ1週間で10冊の本をすばやく読んで、1年後に「10%」を得たほうがいいと思いませんか?

1冊を深く読むのではなく、たくさんの本から「小さなかけら」を集めて、「大きなかたまり」をつくっていく

それが遅読家の人に決定的に欠けている発想なのです。

小さな欠けらが集まってくると、それらは次第につながっていき、より大きな知識として成長していきます。

イメージとしては、組み立てブロックの「レゴ」でなにか大きなものをつくる感覚です。

1冊を熟読していきなり大きなブロックを手に入れようとするのではなく、まずはたくさんの本をすばやく読んで手持ちのブロックの数を増やす。

レゴで遊ぼうと思ったら、一定の数のブロックがないと楽しめませんよね?
「読書がなかなか楽しくならない」という人は、そもそも手持ちのブロックが少なすぎて、そこから新しいものが組み上がっていく醍醐味をまだ味わえていないのです。

(第4回に続く 2/29公開予定)

印南敦史(いんなみ・あつし)
書評家、フリーランスライター、編集者。株式会社アンビエンス代表取締役
1962年東京生まれ。広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。
「1ページ5分」の超・遅読家だったにもかかわらず、ビジネスパーソンに人気のウェブ媒体「ライフハッカー[日本版]」で書評欄を担当することになって以来、大量の本をすばやく読む方法を発見。
その後、ほかのウェブ媒体「NewsWeek日本版」「Suzie」「WANI BOOKOUT」などでも書評欄を担当することになり、年間700冊以上という驚異的な読書量を誇る。
著書に『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)のほか、音楽関連の著書が多数。