第三次産業こそ優れた人材が必要

【米山】そうですね。キャリアプランとしても会社の採用の入り口の設計としても大事なことです。

新卒で入って2~3年の社員は、みんなが遊んでいる週末や平日の夜、居酒屋の現場に立つのが現状で、それが10年経っても変わらないとなれば、よほど好きな人でないかぎり、夢を持って働き続けることは難しいと思います。

そこで、まずは居酒屋の現場を経験し、経営者の勉強をして、その次の3年後、5年後に何をするかというキャリアプランを少しずつ用意しているのですが、本当はもっと急がねばなりません。

というのも、いい人材はメーカーや商社などの二次産業に流れやすく、三次産業の外食産業にはなかなか優秀な人材が入ってこない。三次産業は直接お客さんと触れ合って、最も付加価値を産める場所であるはずなのに、そういうチャンスがある場所に優秀な人材が入ってこないというのは、食産業全般における、構造的な問題なのです。その構造を変えていく必要があります。

【藤沢】そういう意味ではECは原動力になりますよね。あくまでECで日本一になるとか世界一になるとかというより、やりたいことをよりやるために道具としてECとか新しいフィールドを探している。さらに働く人たちの付加価値を高める、もっと人生を謳歌できるように、そういう道具をどんどん使っていくということですね。

【米山】今の若者たちは、日常のささいな出来事の積み重ねに幸せを感じる。そういった価値観に合ったキャリアプランを少しずつ用意し、若い人たちを巻き込んでいくことで、やるべき価値のあること、仕事の意味が見えてくるのかなと思うんです。

[次回・最終回に続く]

僕が「カリスマ経営者」のマネをしない理由