自分らしさを消さないこと。
人を好きになり、人に感謝するリーダーシップ

【藤沢】米山さんから見て、このリーダーはいいな、自分もこんなリーダーシップを発揮したい、目標や参考にしている、というリーダーはいますか?

【米山】参考にすると自分に自信なくしちゃうんでよね。会社の数字が落ちてきたときなんかに、鈴木敏文さんや柳井正さんの本を読んだりするんですが、読めば読むほど自信がなくなる(笑)。
ロジカルな考え方で勉強になりますし、部分的には参考になりますが、僕が同じことをすると僕の良さは消えてしまう。人を巻き込んでいくという、僕らしさは大事にしたいと思うんですよね。

一方で、義憤がモチベーションになることもあります。遊んでいる経営者とか、ちょっと威張っている経営者をみて「薄っぺらい」と感じることがあって…。そういう義憤を覚えることは、モチベーションにかえるようにしています。

【藤沢】今日お話しして、私が米山さんことを好きな理由がわかった気がします。柳井さんや鈴木さんが力のあるリーダーであることは間違いありませんが、同じである必要はない。米山さんは人も好きで、人に感謝できる。愛があるリーダーです。

居酒屋業界でトップに、という目標はありますか?

僕が「カリスマ経営者」のマネをしない理由

【米山】居酒屋というのは一つの販売チャネルにすぎません。

以前は居酒屋の売り上げがほぼ10割でしたが、漁業や農業、食鳥や食品の販売など、いろんなチャネルを作り、現在、居酒屋の売り上げは8割です。

将来的にはECサイトに進出しようと思っています。他社のプラットフォームを使って手数料を払うのではなく、自社のプラットフォームを持ち、居酒屋以外の販売チャネルをつくって、食材の価値をきちんと発信していかなければ、本当の意味で生産者のためになりません。

というのも、居酒屋で売れる材料はある程度、限定されてしまうんですよね。ECであれば米や居酒屋で売れない食材や、部位も商品化できます。

家電ではビックカメラなど、3割がEC、7割がリアル店舗、という例もありますが、外食産業ではリアルとネットの融合が遅れていて、外食産業から食産業へ拡大している成功モデルはまだありません。「上質なものを提供する塚田農場」というブランド力はだんだん定着してきているように思うので、そのイメージをつなげていければ、食材はエー・ピーカンパニーのECで、というモデルは十分成立すると思っています。

塚田農場の居酒屋を1000店舗出すよりも、200~300店舗くらいをフラッグシップショップとし、塚田農場のECとか、弁当、外販、海外などのチャネルを拡大していきたいです。

【藤沢】そのほうがトータルで生産者さんのためにもなる、ということですよね。