リーダーが代わっても
ビジョンは受け継がれるか

【藤沢】パナソニックやトヨタ、シャープといった大企業も、創業者はみな、米山さんのような人だったと思うんですよ。『最高のリーダーは何もしない』にも書きましたが、パナソニックは復活しつつあるものの、シャープは芳しくない、トヨタは好調など、どうして差がついてしまうのでしょうか?

たとえば、米山さんが完全に会社を離れても米山イズムもしくはエー・ピーイズムがずっと続くための仕掛けを考えたことはありますか?

【米山】まだ16年ですからね、後継者などを考えるのはまだもう少し走ってからでいいかな、なんて思っているのですが、30年、50年後をもう考えなきゃいけないですかね?(笑)

【藤沢】どうでしょうね。こういうビジョナリーな経営をしていると、大企業の会社の岐路はどう見えているのかしら。なぜトヨタはずっと好業績をあげて、シャープはああなったか。財務的に見れば過剰投資などの理由がありますが、何がそういう経営判断につながったのかに興味があって。

【米山】小売りとかメーカーに関しては、ブランドを磨き続ける、今までにない価値観を産み続けること。ブランドは必ず飽きられるのが前提で、過去の成功事例は明日から通用しないという視点がつねに大事です。

今まで作ってきたものを壊すわけではないけれど、今あるものは薄っぺらく、明日もっといいものを出すために何が必要か、繰り返し考え、その危機感を持ち続けることが大事だと思っています。

少なくとも僕はいつもその危機感を持っています。もっと上質なもの、もっともっと上質なもの、ということを繰り返し伝えてブランドを飽きさせない。ブランドに命を吹き込み続ける

塚田農場にはつねに新しいメニューがあるというのは当然だし、なにか違うアプローチをしてくるっていう新鮮さがあるということが大事だと思うんですよ。当初から3ヵ月に1回はメニュー変更、1年に1回はグランドメニュー変更を繰り返しています。去年の冬やったものを今年そのまま出したらダメ。そのために全国を飛び回って、次は何をやろうかと探しまわっています。