わが社の社員旅行は楽しいので、社員は喜んで参加しています。
宿泊するのは、加賀屋や富士屋ホテルなど、ナンバーワンの高級旅館やホテルです。「一流とは何か」を体験的に知ってもらい、業務に活かしてもらうのが狙いです。
「現金争奪ジャンケン大会」など、下世話なイベントが目白押しですし(笑)、大好きなお酒がいくらでも飲める。そもそも、こうしたイベントを楽しめる人だけを採用しているので、社員旅行が苦手な社員はいません。
わが社の社員は「面倒なこと」をやりたがらないので、仕事をするときは、「嫌々ながら仕方なく」やりますが、社員旅行は違う。「喜びながら率先して」盛り上げてくれます。
郡中丸木株式会社(住宅建築/福島県)の鈴木宗稔社長は、「かばん持ち」としてわが社の社員旅行に同行しています。
「宴会の最後に、『現金争奪ジャンケン大会』が行われたのですが、驚いたのは、ジャンケンのやり方です。
“シェアジャンケン”(→本書140ページ参照)をしたり、ふつうのグー・チョキ・パーをしたり、『最初はグー』という前フリを入れたり入れなかったりして、宴会の終了時間(20時)の『1分前』には全社員が会場から退出できるように、時間配分を考えながらジャンケンをしていたんです」(鈴木社長)
もうひとり、株式会社高砂の吉田社長も、武蔵野の社員旅行に参加しています。
吉田社長は、自分の会社でも社員旅行をやりたがっていましたが、社員の中には、反対派もいた。そこで私は吉田社長に、「武蔵野の社員旅行に同行するときは、もうひとり、できるだけ中立な立場の社員を連れてくるように」と言いました。
社員旅行賛成派でも、反対派でもない中立的な社員の有我竜司さんが「武蔵野の社員旅行は楽しかった。うちも、ああいう社員旅行をやりたい」と報告をすれば、社長が言うよりも説得力が出る。
客観的な意見であれば、反対派の理解も得やすくなります(ボイスメールで社員旅行の実況中継をしてもらいました)。
その後、株式会社高砂は、有我さんを実行委員長として社員旅行を実施しています。
「社員旅行なんて嫌だ、という人を強制的に連れていくのは、こちらも嫌なことです。やっぱり、みんなが『行きたい』と思ってくれないと、楽しくないですからね。まだまだ武蔵野さんのようにはできませんけれど、最近は抵抗する人もいなくなって、徐々に価値観がそろってきた気がします」(吉田社長)
社員全員で同じことをして、同じ空気を吸い、体験を共有することで、組織の一体感が生まれます。一体感があれば、充実したお客様サービスが可能になる。お客様満足度が向上し、売上も伸びる。売上が伸びれば社員の給料も上がるから、それは社員自身のためでもある。
だから、慶事・弔事を除き、社員旅行には参加させるべきです。