その理由は、次のように説明できます。
ビジネスは、ヒト・モノ・カネを動かすことです。ゆえに、とにかくなんでも具体的な数字で考えなければならないはず。
ですから、成果を出せている人はどんなときでも「具体的な数字」を持ち出すクセがついています。あとは、算数レベルの処理ができれば、ビジネスはできます。
ところが、残念ながら成果が出せないビジネスパーソンはそうではない。だから、先ほどのような問題に直面したとき、思考回路が学生時代の数学の教科書にまで一気に戻ってしまうのです。
このような人は、数学の問題は解けるかもしれません。しかし、ビジネスパーソンの思考回路になっていない人です。
数字で考えるのに、わざわざアルファベットを持ち出してどうする!?
そういえば、デキる人ほど、よく「仮に社員が100人だとしたら……」なんて台詞がよく口から出てきますよね。「まず、X(エックス)とおいて……」なんてビジネス会話、おそらく聞いたことないはずです。
全世界を論じるのに、70億人ではあまりに多すぎてよくわからない。だから「世界がもし100人の村だったら」という喩えがおそらく生まれたのでしょう。
本質は同じ。わからないものは、具体的な数字で仮におくということです。
そもそも、数字で考えるべき局面で、なぜわざわざアルファベットを持ち出すのだろうと私は思うのです。
私たちビジネスパーソンは、もう学生ではありません。この先、X(エックス)なんてものを使う局面はほとんどないはずです。しかし、四則演算(+−×÷)は絶対に使います。
ですから、先ほどの問題も四則演算だけで解決できるべきなのです。どうかあなたは、「X(エックス)とおく」ではなく、「1とおく」な人であってほしいと思います。
最後になりましたが、わからないものを具体的な数値にすることを「定量化」といいます。「定量的な議論ができる人のほうが仕事もデキる」という言説は、紛れもない真実です。