「どう言うか」より、
「何を言うか」が重要な理由

 コピーを書く前に、訴求するターゲット(顧客)に対し、商品やサービスのどんな価値を提供するか。これがコピーを書く前に考える戦略である。

 名著中の名著、『ザ・コピーライティング』でも同様のことを言っている。

「どう言うかより、何を言うか」のほうが重要なのだ。それぞれの意味は、こうだ。

どう言うか=コピーライティング
 何を言うか=戦略

 では、なぜ「どう言うかより、何を言うか」のほうが重要なのか?

 なぜなら、そうしなければ、売れなくなるからだ。

横田伊佐男(Isao Yokota) CRMダイレクト株式会社代表取締役。シティグループ、ベネッセグループにて、一貫してマーケティングに従事。ダイレクトマーケティング、データベースマーケティング、コンサルティング部門の責任者を歴任。約6000商品のプロモーション経験、大手企業100社超のコンサルティング経験を体系化し、2008年に独立。人が動く戦略は「紙1枚」にまとまっているという法則を発見し、「ポケットに入る戦略」こそが、行動から成果につながる戦略であることを突き止める。「使えなきゃ意味がない」を信条に、使えて成果につながる戦略立案を徹底的にたたき込む日本唯一のプロフェッショナル・マーケティングコーチ。企業や受講者の課題点をすばやく摘出し、短時間で確実な成果へと引き上げる「超訳力」を駆使したマーケティング研修講座は、上場企業ホールディングス、政府系金融機関、欧州トップの外資系金融企業、意欲ある中小企業経営者等からの依頼が絶えず、これまでの受講者はのべ2万人を数える。神田昌典氏主催「マーケティング白熱会議」では、ゲストスピーカーとして、読破まで数か月を要する2000ページに及ぶ大著を60分で「超訳」講義。受講者には、赤字会社を1年で黒字化する経営者、他を圧倒し昇格するビジネスパーソンが続出するなど、成果から逆算した育成プログラムを提供中。ダイレクトマーケティングフェア、CRMカンファレンスなど講演多数。著書に、『一流の人はなぜ、A3ノートを使うのか?』(学研パブリッシング)、『ケースブック価値共創とマーケティング論』(分担執筆、同文舘出版)がある。 横浜国立大学大学院博士課程前期経営学(MBA)修了。横浜国立大学成長戦略研究センター研究員。 【CRMダイレクトHP】 http://www.crm-direct.com/

 老若男女それぞれ、価値観に大きな違いがある。ここを見極めておかないと、その後、どんないいコピーを書いても刺さらないコピーになってしまうのだ。

 たとえば、スマートフォンiPhoneの新機種が登場したとしよう。

 その新型iPhoneが売れるコピー、つまり、買ってもらうにはどんなコピーを書けばいいだろうか? 

 おっと、ここでいきなり書いてはいけない。まず考える。売れるコピーライティング(どう言うか)にするには、事前にその戦略(何を言うか)が先だ。 

 価値を受け取る相手(ターゲット)が変われば、伝えるべきこと(提供価値)はおのずと異なってくる。

 この場合、価値を受け取るターゲットは、大きく考えて3タイプいるだろう。「iPhoneユーザー」「アンドロイドユーザー」「ガラケーユーザー(スマホ未保有者)」の3タイプである。

 それぞれ「ターゲット×提供価値」を考えてみよう。

同じiPhoneでも、ターゲットが異なれば、「新機能」訴求、「優位性」訴求、「スマホ」訴求と提供すべき価値が異なってくる。

 それぞれのターゲットの興味や関心、悩み、欲している情報が異なるからだ。

これを間違えてはいけない。