IFRSへの準備作業の中で、大きな課題の1つとして「情報システムの対応」があげられている。

 現在、企業の経理をはじめとする経営情報は情報システムにより生成されており、財務報告基準の大きな変更は、企業が財務報告のために準備する情報の収集の範囲、粒度、計算処理方法等の変更を必要とする。そのため既存の情報システムに何らかの修正が必要とされる。

 したがって、IFRSに関しては、経理部門のみならず情報システム部門も関心を強く持っている企業が多い。

 また、各企業が共通して大きな影響があると想定している項目に固定資産がある。情報システムも会計上は、有形・無形固定資産として処理されているケースが多く、情報システム部門が管理すべき「資産」がIFRSにより影響を受けることも留意しておく必要がある。

 主に、この2つの側面から情報システム部門はIFRSに備える必要がある。まず、2つの側面それぞれについて、具体的に議論したい。

販売から金融商品、連結会計などまで
IFRSで求められるシステム対応

 IFRSに従った会計処理や開示を行うためには、情報システムの改善が必要となるケースが多い。多くの企業で何らかの対応が求められる関連システムには、以下のようなものがあげられる。

・ 販売システム
IFRSでは売上げの認識時点が出荷から着荷や検収の時点に変更を求められる可能性が高く、着荷や検収時点の情報を収集する仕組みが必要になる。

・ 固定資産管理システム
税務と財務報告用の資産化の範囲、耐用年数、および償却方法等が異なり、それぞれの帳簿残高を維持管理する必要があり。その差異が大きい場合には、固定資産台帳を複数維持できる仕組みが求められる。

・ 研究開発管理システム
一定の要件を満たした時点以降の開発費は資産化しなければならないため、研究開発活動のステージ別管理と当該ステージ別管理に応じた形での開発費の管理・集計のための仕組みを構築しなければならない。