「生活保護でギャンブル」よりも
深刻な“世間の声”というプレッシャー

 では、生活保護のもとでの「ゼイタク」「不相応」に対しては、どのようなケースワークが行われるのだろうか?

「個々のケースの事情や状況は確認しますが、犯罪など違法性があるものを除いて、基本的には『本人の好きにすればいい』です」(石原氏)

 保護費の用途が自由であることは、制度成立以来、何回も繰り返し確認されてきている。

「生活保護を受けていようがいなかろうが、ほとんどの方にとって、1ヵ月に使えるお金は決まっているものです。高齢者なら年金、社会人なら給与などの収入、大学生ならバイトと仕送り、場合によっては奨学金。子どもなら親からのお小遣い。お小遣いは与えない親もいそうですけれど。誰もが、その『1ヵ月あたり◯円程度』と定まっているお金で、不満や不平を抱えつつも生活しているはずです。ご本人が『生活するのに充分』とは思っていない金額かもしれませんが」(石原氏)

 仮に、夜の居酒屋での付き合いが欠かせない職場に勤務している夫の小遣いが1ヵ月あたり3万円だったら、世帯年収が800万円でも、夫は「生活するのに充分」という実感を持てないだろう。もしかすると背景は「住宅ローンと子どもの塾代があるから、しかたない」かもしれない。いずれにしても、給料の用途は、生活保護の生活費と同じ意味で自由だ。

「生活保護利用者の場合、生活保護基準があったり、加算があったら使えるお金が増えたりすることはありますが、根本的に、事情は生活保護を利用していない方々と同じです。金銭の管理ができなければ、損をするのも責任を負うのもその人です。ただ、被害が大きくならないように配慮することが求められる場面はあります。『ゼイタク』『不相応』と言われる行動の結果、生活が崩壊するような状況に至ったら、『生活上の義務』を定めた生活保護法第60条に基づいて、助言および指導を行います」(石原氏)

 では、別府市で問題になったパチンコや競輪、あるいは競馬や競輪はどうだろうか?

「生活が維持されていれば、パチンコに行こうが競輪や競馬をしようが、ご本人の自由です。ケースワークにおいて、問題視しようとは考えません。もちろん、勝った分はきちんと収入申告を行っていただかないと困りますが」(石原氏)

 勝っても申告しないのか、トータルでは勝たないことが多いから申告のしようがないのか。ギャンブル経験のない私には、想像のしようがない。

 さらに石原氏は、生活保護利用者に多く見られる問題として、「生活保護の自分は、楽しんではならない」という思い込みを指摘する。“世間の声”を内面化して、自ら苦しんでしまうというのだ。

「ご本人が抱えている“世間”“世の中”“社会”などの規範に、ご本人が縛られてしまうのです。ケースワーカーとして、ご本人が抱えているそれらの規範を無視することはしませんが、あまりにも規範が強すぎると感じたり、ご本人が思いつめたりしている場合には、『こういう別の考え方もありますよ』と他の見方を提供することがあります」(石原氏)

 いずれにしてもケースワーカーとしては、「生活保護でギャンブル」は黙認するしかないのだろうか?