100万円あったら庭に埋める?
それとも預ける?
一方、預金と現金とを比べるのだとすれば、やはり預金のほうがはるかに価値は高い。これについても見ておこう。
たとえば100万円を年利0.025%の定期預金に預けたとしても、年間250円しか利息はつかない。コンビニのATMで祝日にお金を引き出したら消えてしまうような金額である。
だとしたら、わざわざ銀行に預けたりせずに、自宅の金庫にでも保管しておいたほうがずっといいのではないだろうか。わざわざお金を下ろさなくていいという意味で利便性もあるし、札束を毎日拝めるほうがうれしいという人もいるかもしれない。
あるいは、マイナンバー制度がはじまって詳細な所得を把握されると困るから、現金取引をした分は口座を通さないようにするという人も中に入るかもしれない。いわゆるタンス預金だ(もちろんこれは立派な所得隠しとして処分の対象になるのでご注意を)。
2016年1月に日銀がマイナス金利を導入した際、金庫の売上高は2.5倍になり、警備大手セコムの株価が1週間で5.3%上昇したという報道があった。これは銀行にお金を預けずに、自分で手元に持っておこうとする人がますます増えているということなのだろう。実際、日本には何十兆円レベルでタンス預金が存在していると言われている。
そうであっても、やはり社会全体にとっては、現金で置くより、銀行に預けたほうがはるかにいい。利息がつくという以外にも、まずセキュリティ面から言っても、自宅にある現金は盗まれたり火事で燃えたり間違えて捨ててしまったりする危険性がある。一方、銀行に預けておけば、そうしたリスクはまずないし、万が一銀行が潰れてしまっても、1000万円までの元本とその利息はちゃんと手元に返ってくることになっている(いわゆるペイオフという預金保護制度)。
ただし、僕がここで言いたいのはそれとは少し違う話である。