法律を学ぶに当たって覚えておかなければならないことがあるとしたら、法律の条文の内容ではなく、法律を読み解くための基本的なルールなのです。法律の条文はその内容を正しく理解してもらうために、たくさんの「シグナル」を発しています。その「シグナル」をうまく拾うことができないようでは、法律を読み解くなんてできないからです。少しその練習をしてみましょう。まずは、準備体操です。

 判例を学ぶ際に必要な事件名や法令用語、いくつ読めるか試してみようと思います。まず、判例名から、(  )の中の文字を読んでみてください。[1]は地名、[2]は人名です。

  [1](空知太)神社訴訟

  [2]早稲田大学(江沢民)講演会名簿提出事件

 答えは、[1]が「そらちぶと」、[2]が「こうたくみん」です。
 判例名で忘れられないのが、著者が経験した、恐怖の「さるばらい」事件です。憲法の学習は、判例を中心に行うものです。しかし、その判例名が読めなかったとしたら? 私は大学のゼミで先生にこんなことをいってしまいました。

 私「最高裁は、あのサルバライ事件の判例で……」
 教授「君、それは、サルフツ事件と読むのです」

 ゼミ生の冷たい視線を、私はいまだに忘れることができません。ちなみに「猿払事件」の「猿払」も「空知太」と同様に北海道の地名です。

 さて、次は、憲法に出てくる基本的用語です。

         恵沢、弾劾、何人、文民

 どうでしょうか。それぞれ、「けいたく」、「だんがい」、「なんぴと」、「ぶんみん」と読みます。

法律を読み解くための「神スキル」(1)
一般法と特別法との関係

 さて、準備体操が終わったところで、次は「法律を読み解く」ための技術を学びましょう。

「法令用語を踏まえて条文の構造を理解する」
「法律を4つの部分に分けて条文の位置付けを理解する」
「1条からその法律を大事にしている価値を押さえる」

 拙著、『法律を読む技術・学ぶ技術』では、このような「法律を読む技術」をお伝えしました。ここでは、誰も教えてくれない神スキルをお伝えします。それが「一般法と特別法との関係を見抜く」というスキルです。

 広く原則となる規定を一般法といいます。一方、特別な人、特別な時期、特別な地域についてなどに限って適用されるのが特別法です。一般法と特別法の区別はとても大切なのです。特別の必要があるから特別法が定められているのですから、特別法が定められている分野では、特別法が一般法に優先します。

 たまたま開いたページだけを読んでいても小説のストーリーはいっこうに理解できないでしょう。それと同じように、特別法も一般法を知った上でないと、ぜんぜん理解できません。特別法だけだと全体の取り出した一部分にすぎません。だから、その法律が一般法なのか、特別法なのか、また、特別法なら何についての特別法なのかがわかって読む必要があるのです。