素材メーカーでプレイング・マネジャーを務めていたK藤さんも、「CAPD」の方が成果を出しやすいことに気づいた一人です。K藤さんが実践したのは、小刻みなCAPDの習慣化でした。例えば、「ベッドの上の5分間」を使った、今日一日の復習と明日の予習を行う「5分間CAPDサイクル」です。

 これは、今日は取引先と打ち合わせをしたが、当初の計画と少しズレが生じてきている、その原因は何だったかを改めてベッドの上で振り返ってみよう、ということを習慣にしたものです。

 当初は、記憶が曖昧になる前に改善策を練るのが目的でしたが、現状の分析から問題を正しく把握する習慣ができると、時間の使い方にも変化が生まれ始めました。それまでは計画にばかり時間を使って、実行できなくてもあまり気に留めていませんでしたが、それだと同じことを繰り返しているだけだとわかり、ボトルネックを考えるクセがつきました。

 そして、これをマネジメントにも広げて、部下の仕事の進捗を確認することから問題を見つけたり、うまくいっていない原因を特定して対策を立てることで、チーム全体が成果につながるCAPDを回せるようになったといいます。やみくもに計画・実行をするより、現状の分析・改善・再実行からスタートしたほうが効率化につながることを発見したのです。

 ちなみに、K藤さんが言うには、「ベッドの上の5分間」は、どんなにトラブルに見舞われているときでも、5分きっかりで延長はしないというルールを設けていたといいます。習慣化する際のハードルは面倒くさく感じることなので、5分間という短時間で終わらせることが大切だそうです。

 この「5分間CAPDサイクル」によって、K藤さん自身も定時に退社でき、トップセールスを維持し、彼のチームの業績も社内で1位を成し遂げています。多くのプレイング・マネジャーたちは行動の「やりっぱなし」で、その方法が正しかったのかどうかの結果の検証をしていません。よって改善が行われず、また同じ失敗を繰り返します。そのやり方では業績が上がるわけはないでしょう。長時間残業を繰り返すプレイング・マネジャーより「ベッドの上の5分間」が優るのであれば、やってみない手はありません。

【ポイント】現状の分析・改善・再実行から始める「CAPD」を回す

第18回に続く(7/4公開予定です)