「周囲の人間による介入が性暴力の抑止には重要なポイントとなります。これは大学構内でも、それ以外の場所でも同じです。不審な動きを見せる人に対して、周りの人間が軽く声をかけるだけでも状況は変わります。

 また、女子学生の飲み物に薬を混入する場面に遭遇したり、レイプに関するジョークを口にするような人がいた場合には、友人という関係であっても周囲の人間がそういった行為をやめるべきだと介入することで、レイプに発展する確率は激減します。周囲の介入は勇気のいる行為ですが、性犯罪を未然に防ぐ手段としては非常に有効であるため、我々も周囲の介入の重要性をもっと啓発していく考えです」

 ワシントンポストは7日、2014年に10件以上のレイプ事件が構内で発生したアメリカの大学が100校近くに達したと報じた。レポートの冒頭で紹介したスタンフォード大学では26件のレイプ事件が発生しており、ワーストとして紹介されたコネチカット大学とブラウン大学にいたっては、それぞれ報告されているものだけで43件のレイプ事件が大学構内で発生している。

 ワシントンポストは全米の大学1300校を対象に調査を行い、その中で年間に10件以上のレイプがキャンパス内で報告された大学が99校に達していたことが判明した。約500校はキャンパス内でのレイプ事件がゼロであった。約4万9000人の学生が学ぶニューヨーク大学では、2014年にキャンパス内で発生したレイプ事件はゼロであったが、キャンパス外で学生がレイプ被害に遭ったケースは6件報告されている。ニューヨーク大学の学生寮は、そのほとんどがキャンパス外にあるため、寮内で発生したレイプ事件は「キャンパス内」の事件としてカウントされていない。ニューヨーク大学のような例は、他にも存在すると考えられている。

オバマ大統領も懸念する大学の性暴力
特別タスクフォースの提言は受け入れられるのか

 ワシントンポスト紙が報じたデータでも分かるように、アメリカの大学のキャンパス内で性犯罪の被害に遭うケースは少なくない。しかし、「同意か否か」の線引きが難しいケースが少ない現状や、学校ランキングや入学志願者数に少なからず影響を与えてしまうのではないかという大学側の懸念なども存在し、キャンパス内で発生する性犯罪への対策に消極的な大学も少なくない。

 オバマ政権は続発する大学での性暴力被害に歯止めをかけるため、2011年4月に過去のものよりも格段に厳しい新指針を発表。性暴力を性差別の1つと位置付け、連邦政府から助成金を受けている教育機関では性差別は禁じられているとし、学校関係者へ被害者の訴えに対する迅速かつ公平な対応を求めている。2014年には米教育省が性的暴行やセクハラなどで調査が行われている大学55校を実名で公表。ハーバード大学やプリンストン大学といった名門校も含まれていたが、大学側がもっと積極的に性犯罪への対応に動くべきというオバマ政権からのメッセージであったと米メディアは伝えている。

 ホワイトハウスが2014年に設立した特別タスクフォースは、学生が証人として裁判に参加しやすい環境づくりを進めることや、被害者のプライバシー保護の改善を早急に行うべきとする報告を発表しているが、依然としてアメリカの大学で発生する性犯罪は後を絶たない。