ソフトバンクと塩尻市が期待する「学生ならでは」の強み
熊谷 塩尻市の立場から見て参加者に期待する「学生ならではの武器」はありますか?

塩尻市・山田 学生の強みは3つ。「暇」と「世間知らず」と「帰る場所があること」です。暇だから今すぐに実行できるし、世間知らずだから、社会人からするとヒヤヒヤするような行動ができる。
「あの社長とあの社長は仲が悪いから、組ませたらいけない」なんて、学生は知らないんです。だから飛び込んでいっちゃう。でもそれがきっかけで、傍から見ると「えっ、なんであの社長とあの社長が話してるの?仲悪いのに」というようなことが起きて、不思議とそこから新しいアイデアが生まれたりする。田舎ではとくに、「人間関係」がプロジェクトのボトルネックになることが多くあるので、暇で世間知らずな学生にどんどんかき回してもらうと、大きなイノベーションが起きる可能性があるんですよね。
そして、いちばん大きいのは3番目の「帰る場所があること」。もしも組織の中にいて大きな失敗をしたら、ソフトバンクさんのような社風でなければ、いづらくなって辞めてしまったりする人もいると思うんです。でも学生は、インターン期間が終われば「帰る場所」がある。「よそ者」として入るからこそ、思い切った挑戦がいろいろできるんですよ。
熊谷 なるほど。「学生だから起こせるイノベーションがある」って言われると、今この瞬間にしか挑戦できない貴重さが伝わります。源田さんが期待する「学生ならではの武器」はどんなものですか?
ソフトバンク・源田 僕が期待するのは、「人々の幸せ」に対する純粋な視点ですね。社会に出て働き始めると、いつの間にか「うまいビジネスプランが描けているか」とか「しっかりとした事業戦略が描けているか」とか、何かを提案するときにそういうことをどうしても考えてしまう。
「こんな商品があったらすごく嬉しい」「こんなサービスが人々の幸せにつながるんだ」ということを根幹に置いて、真摯にプレゼンできるのは、学生や新入社員の強みなんです。結果的には粗削りでもいいから、自分たちの思うことをとことん、妥協なく突き詰めて、提案してほしいですね。

熊谷 「提案の完成度」以上に、「志」や「思い」が評価されるということですね。素敵なことだと思います。
社会問題に対峙して、その中で自分が社会にどう貢献していくのか、「人々の幸せ」を根幹に置いて考える。この経験って、インターンの機能である「教育」以上の意味があると思うんです。「地方創生インターン」は、学生だからこそ瑞々しく、純粋に立ち向かえるプログラムで、かつ答えがない。参加した学生は1週間で大きく成長するでしょうね。
ソフトバンク・源田 そう思います。だからとにかく失敗を恐れずに、挑戦してほしいです。
今回の「地方創生インターン」の立ち上げ自体、ソフトバンクにとってはすごくチャレンジングな企画なんです。でも、この取り組みを立ち上げたという事実そのものを、僕たちからの「メッセージ」だと受け取ってほしいです。ソフトバンクは「何かにチャレンジしたい」とか、「答えのない課題に向き合いたい」と思う人たちの集まりなんです。今回のインターンシップでは、そのような考えを持つ多くの原石にアプローチできたら嬉しいですね。
熊谷 学生、ソフトバンクさん、そして塩尻市にとって、三方よしの素晴らしい取り組みだということがよくわかりました。今回のインターンをきっかけに、このような取り組みが広がって、学生が成長する機会が増えると嬉しいですね。本日は、素晴らしいお話をありがとうございました。
源田・山田 ありがとうございました。

(終わり)