仕事上のちょっとした工夫が、成果や評価に大きな差をうむものではないでしょうか。世界一のコンサルティングファームで世界7ヵ国のビジネスに携わった著者が、社内外の“できる人”たちの仕事の鉄則をまとめた翻訳書『47原則 世界で一番仕事ができる人たちはどこで差をつけているのか?』(原著タイトル"THE McKINSEY EDGE”)より、今日からでも役立つ成功原則の一部を紹介していきます。
今日のお題は「きつい仕事は午前中に片付ける」。なぜ、朝なのか。どんな種類の仕事をやるべきなのか。逆に、朝やってはいけない仕事とは?…etc.まるっとお答えしていきます!
古今東西で言われる「早起きは三文の徳」は、昔から実証されてきた真理です。
早朝は平和で静かなひと時であり、誰にも邪魔されない時間です。大抵の人はまだ寝ているので、早起きすると自分がちょっと誇らしくなります。美味しいコーヒーをカップに注ぎ、「さて、ひと仕事するか」とデスクにつきます。
さて、そこで質問です。
こういう早朝の時間帯は、どんな仕事をするべきでしょうか。
答えは……「難しいこと」です。
あなたの「やることリスト」中で“難しいこと”とは?
では、難しいこととは何でしょう?
・一番やりたくない仕事
・結果が出るまで時間がかかり、簡単に達成できない仕事
・しっかり手応えが感じられるように、午後じっくり3〜4時間かけてやりたい仕事
・細心の注意を払うべき仕事
・骨の折れる仕事
・取り組み方があまりわかっていない仕事。おそらく周囲の助けが要り、着手してからじっくり考える必要があるもの
・早めに始めて一部を他の人に振らないと、後になって全部自分でやる羽目になる仕事
こうした“難しいこと”を早朝に片付けるべきだとすると、具体的にはどんな仕事がそれに当たるのか考えてみます。
■早朝やるべき仕事の一例
:一般的に、創意工夫や創作や想像力を必要とする仕事
・エグゼクティブ・サマリー(報告書の重要事項の要約)を書く
・次の3ヵ月間のプロジェクトの作業要素とスケジュールを作成する
・報告書などの最終成果物を作成する
・CEOや経営幹部を対象としたワークショップ用に重要資料の草案を作る
・チームメンバーの仕事に新しい指示を与える
・行動を要請するメールの下書きを書く
いわゆる単純作業でなく、「考える」ことが必要な仕事といえそうです。
では、逆に早朝にしなくてよい仕事というのはどのようなものでしょうか。
■早朝やらなくてよい仕事の一例
:一般的に、何かを変更したり修正したり削除する以外の仕事
・何かを編集する
・書類を校正する
・プレゼン資料に補助的な文章やスライドを追加する
・メールや依頼に返信する
・プロジェクトメンバー全員のメールの連絡先リストを作るなどの単純作業
早朝やるべきでない仕事というのは、つまり、変更したり修正したり、削除するといったこと以外で、頭を使わずにこなせる、比較的平凡ではあるものの必要な作業といえそうです。
では、こうした早朝すべきでない仕事(でも必要な作業)は、一体いつこなしたらいいでしょう?
答えは、「夜」です!
ハードな1日が終わると、夕食の頃にはかなりバテているはずです。夜の時間帯も静かですが、チームやクライアントからの報告に目を通したり、大切な仕事に集中したり、難しい問題を取り上げたり、創造力を働かせたり、将来のことを考えたりする精神的な余裕はありません。とにかく脳を休めたいはずです。夜の時間に一番ふさわしいのは、受動的で、あまり頭を使わない仕事です。
若い時ほど早起きは一目置かれる
さて、早朝を活用するには、最初に「早寝早起き」のバイオリズムを作らなければなりません。このことが、一流のリーダーに飛躍するための重要な習慣であることは、あなたもいずれ分かると思います。
実際、世界的に活躍している著名なCEO21名の毎日の起床時間をざっと確認したところ、彼らの80%は午前6時以前に起きているようです(『Fortune』や『New York Times』、AP通信の記事などをまとめた複数のウェブサイトを参照した)。一番の早起きはフィアット・クライスラー社のCEOセルジオ・マルキオンネで、ヨーロッパ支社に対応するため午前3時半に起床しています。ヴァージン・グループ総帥として著名なリチャード・ブランソンとスターバックス社のハワード・シュルツの起床時間は、それぞれ午前5時45分と5時ちょうどでした。
ほかにも、AOLのティム・アームストロング、メディアドットコムのカレン・ブラケット、エリクソンのハンス・ベストバーグ、GEのジェフ・イメルト、ゼロックスのアースラ・バーンズ、ペプシコのインドラ・ヌーイ、ディズニーのボブ・アイガーなど錚々たる面々が同じように早起きをすると言います。
年齢的にいえば若ければ若いほど、早起きして仕事をこなすことにより一目置かれる可能性が高くなります。誰もが昔は若かったので、若い人にとって早起きがいかに難しいことかよく分かっているからです。
加えて、早起きして難しい仕事をこなすことは、科学的に見ても筋が通っています。体温は昼間は上下0.5度程度の変動があり、午後6時半〜7時頃を過ぎると低下し始めて、午前4時半頃に底を打ちます。そして再び上昇を始め、起きる時間だ!と知らせるのだそうです。頭の働きは身体とは逆で、低温のほうが冴えるため、朝早い時間に難しい仕事をやるというのは道理にかなっているというわけです。
朝から仕事をするという新しいスケジュールに慣れるには、ある程度時間がかかります。でも、あなたの仕事への取り組み方は様変わりし、何倍も生産性が上がるはずです。
波に乗れない朝、やってはいけない3つのこと
そうは言っても、どうしても集中できず波に乗れない朝もあります。早起きしても、仕事に取り掛かる気分になれないのです。
そんな朝のためのアドバイスは3つあります。
・ 行動を要請するメールを書かない
・ チームメンバーの仕事に指示を与えない
・ プランを立てない
やる気が出ない朝に上記3つの戒めを破ると、いずれも創造性の低いアウトプットを作ってしまい、必ずミスをしてやり直しをする羽目に陥ります。また、やる気が出ないときは単純作業に走りたくなるかもしれませんが、それもオススメできません。単純作業を続けても脳が活性化しないからです。
そんな悲惨な朝には、まずは読書をしてはどうですか(ダイヤモンド社の回し者ではありません!)。ビジネス書を手に取り、お気に入りの一節を読み始めましょう。5〜10分以内には、本来やるべき仕事に取り組まなければ!という衝動が沸き起こるはずです。