競博士と「サルの赤ちゃん教育」
1970年代に私がサルで明らかにしたことに、「前頭前野の神経細胞は、刺激を受けて反応するとき、受けた刺激がどんな刺激で、どんな反応をしなければならないかを短期記憶していて、しばらくたってから反応する」というものがありました。
サルでも、反応することと、記憶することをひとつの神経細胞がするので、高級な認知ができるようになると考えることができます。
1992年にヒトの脳血量の変化を調べることができるようになり、1998年にヒトでもそうであることが明らかになりました。
「いない、いない、ばあ」は、このような反応です。
ヒトの赤ちゃんが、お母さんの顔を見ないで眼前にあることを3秒間覚えていられるようになるのは生後6ヵ月ごろ。
では、サルなら、いつごろできるようになるか。
当時はまったくわかっていなかったので、私が調べることにしました。
生まれたサルの赤ちゃんを、母親ザルから離し、私と助手3人で子育て特訓をやりました。
夜暗くなったころから、朝明るくなるまでは私が担当。
すると、サルが3秒間覚えていられるようになるのに3ヵ月かかりました。
ヒトより早いのは、脳の発達の仕方がサルのほうが早いからです。
一番の苦労は、サルの秀才をどうやって早く育てるかでしたが、サルは教えてくれないので、試行錯誤で最良の方法を見つけていきました。
この研究結果を、1994年に発表しました。
特訓された子ザルは、それまでに経験したことのない行動をするようになりました。
実験者が報酬として与えるリンゴの小片が遅れたり、やり間違えたりすると、実験者のほうを見て、何か言いたげです。
「早くやれ」「失敗するな」という顔つきも賢そうでした。
算数力を磨くと、将来必ずいいことがあります。
『小学校前にみるみる算数力がつく15の習慣』をフルに活用され、お子さんがすくすく育つことを祈っております。