・パナマ文書、タックスヘイブンとは何か?
・富裕層はどんな税金対策をしているか?
・世界ではどのような脱税行為が行われているか?
国税最強部門、「資料調査課」(税務署では調査できない困難案件、例えば大口、悪質、海外、宗教事案などを扱う部署)出身であり、タックスヘイブンの実情を描いた最新刊、『税金亡命』の著者でもある佐藤氏が、本連載で実情を語る。
国税OB税理士による、
脱税相談、ほう助の実態
前回の記事に引き続き、国税OB税理士の実態に迫っていこう。
税理士は「税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ること」を使命とする(税理士法第一条)。
取扱い商品が「税法」だし、税理士法という「制度に守られた職業」なのだから、不法な手段で税金を減らすことを禁じるのは当然といえる。そうはいっても、他の職業同様、税理士も飯を食っていかなければいかない。
顧問先から解約されたら実収入が減るし、脱税の手伝いをして「お小遣い」という名のボーナスが入るならば、と魔が差すのかもしれない。また、現職時代の経験からして、「これならバレない」という自負があるのか…。
国税OB税理士だけが悪いわけではなく、いつの時代にも「利用する納税者」がいる、ということが根っこの問題としてあげられる。
飲食業や風俗業の顧問先を多数持つ、国税OB税理士B氏は、顧問先からの度重なる懇願により、脱税方法を指導した。B氏は繁華街担当(現金・風俗業専担)の経験から得た、バレにくい脱税方法を熟知しており、「これなら大丈夫だろう」という手法を伝授した。