気象庁が想定する東海地震震源域
その中心にある浜岡原発

 広瀬さんはこう続けます。

発電用の原子炉は、この緊急事態によって、日本全土のすべてが運転停止となったが、火力発電に切り替えたため、一般電力の供給には支障が出なかった。(98ページ)

 この予想もそのとおりで、2011年3月14日から28日まで「計画停電」の恐怖を国民に味あわせたものの、現在まで原発はほとんどなくても済んでいます。

 『原子炉時限爆弾』は、福島原発事故の発生によって予測を的中させ、役割を終えたのでしょうか。そんなことはありません。

 本書で広瀬さんが記述の中心に置いているのは、中部電力浜岡原発なのです。浜岡原発は静岡県御前崎にありますが、この地域は「東海地震想定震源域」のど真ん中にあたります。地図をご覧ください。「南海トラフ巨大地震」が迫る日本列島では、原発の稼動はどう考えても無理があります。

迫る南海トラフ巨大地震で何が起こるのか?<br />「福島」の的中だけに終わらない警告の意味南海トラフから駿河トラフに沿った震源域で発生した巨大地震(気象庁作成)参考URL(気象庁ホームページ):http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/tokai/tokai_eq2.html