毎日、何気なく、お風呂に入っていませんか? そうだとしたらもったいない! 「入り方次第でお風呂タイムは治療になる」と言うのは、自律神経や腸の研究の第一人者で「医者が教える長生きみそ汁」の著書もある小林弘幸先生(順天堂大学医学部教授)。
寝ても取れない日々の疲れや、肩こり・腰痛などの慢性的な痛みに、一生悩まされない体を作る、究極のお風呂の入り方を提案した新刊「医者が教える 小林式 お風呂健康法」をベースに、自律神経と腸に最大効率で働きかけるお風呂の入り方を解説します。

今日は“いいお風呂”の日!<br />いいお風呂の入り方と<br />悪いお風呂の入り方Photo: Adobe Stock

間違った入り方をすると副交感神経がオンにならない

 乱れがちな自律神経のリズムを整えるために大切なのが、副交感神経のスイッチを入れることです。自分の体に任せているだけではなかなか切り替わらないスイッチを、押す手助けをするのです。
 そのためにできるのが、入浴です。

 夜、入浴をして血流を促すことで、副交感神経のスイッチがオンになります。すると、自律神経のバランスが整い、どんどん血流がよくなります。こうなるともう、「自律神経のバランスが整う⇔血流アップ」の無限ループのような状態です。

 ただし、間違った入浴の仕方をすると、スイッチはオンになりません。
 たとえば、熱い湯(42度以上)につかると、交感神経が過剰に刺激されます。ふだん、 肌に触れている温度とは大きく異なる刺激が加わったことに体が驚き、神経が張り詰めた状態になるからです。その結果、血管がキュッと収縮し、血流が悪くなり、自律神経のバランスが乱れます。そうなると、せっかく入浴をして疲れを取ろうとしたのに、自律神経のバランスが乱れたまま布団に入ることになるため、眠りが浅くなったり、疲れが取れなかったりします。

 また、いくら血流を促すためとはいえ、夜、運動をするのはあまりおすすめできません。
 ゆっくり呼吸をしながら行えるウォーキングやヨガなどであれば構いませんが、息切れするようなハードな運動は逆効果だと言えるでしょう。せっかく体がリラックスモードに突入しようとしているのに、交感神経が刺激されることによって活動モードになり、副交感神経が上がるタイミングを逸してしまいます。

 私が、入浴こそが血流改善の最善策だと言う理由を、おわかりいただけたでしょうか。温熱や水圧による、物理的な血流促進効果だけではなく、副交感神経のスイッチが押されることによって、自律神経のバランスが整い、体の内側からも血流促進にアプローチができる。しかも簡単で、気持ちがいい。だから、私は入浴をおすすめしているのです。

 さらに、副交感神経を上げるポイントの2つ目「深い呼吸」と3つ目の「笑顔を作る」を入浴中に取り入れることで、健康効果を何倍にも増幅させることが可能になります。