1万人を超えるリーダーは、「同じこと」に悩んでいた。
本連載は、1万人を超えるリーダーから寄せられた「悩み」に対し、明確な答えを提示するものだ。
著者は、日本最高峰のビジネススクール「経営アカデミー」で18年以上の登壇実績を誇り、経営者や企業幹部を指導してきた浅井浩一氏。全国で年間100回以上の研修や講演を行い、コンサルタントとしても現場に入り込む
「離職率を抑え、メンタルを病む人をゼロにし、なおかつ目標を達成し続ける」ために、リーダーとともに考え、行動し、悩みの解決を図る。業種・業態を問わず、職場再建率は100%。これまで指導してきたリーダーの数は1万人を超える。近著に『1万人のリーダーが悩んでいること』がある。(初出:2019年12月29日)

部下から「相談されやすい上司」が必ずやっていること――1万人のリーダーが悩んでいること【書籍オンライン編集部セレクション】Photo: Adobe Stock

【悩み】「コミュニケーションをとりたくなるような上司」になるべきだと思っています。部下の信頼を得るにはどうすればいいのでしょうか?

 ビジネススクールの授業でよく、「部下が今、何に悩んでいるか知っていますか?具体的に書いてください」と課題を出します。

 書ける人はほとんどいません。私が講師を務め始めてから20年間、何百回、何千回とこの問いかけをしていますが、書ける人は全体の2割もいません。

 あなたは、部下が仕事で何に悩んでいるか知っていますか?

 いつの時代も、上司は部下のことを把握し切れないものなのかもしれません。部下の悩みをすらすらと書ける人に共通する点は何か。

 部下に自分の話をする何倍もの時間を割いて、部下の話を聞いているのです。

 コミュニケーションに高度なテクニックなど必要ありません。相手からの信頼を得たかったら、自分から話すのを我慢し、相手の話をじっくりと聞くしかありません。相手が何を感じ、何を思い、何を考えているか、誠実な関心を持って聞くのです。

「誠実な関心」とは、「相手が関心を持っている事柄に意識を傾注すること」を指します。SNSのコメント欄をのぞくと、「誠実な関心」を持っている人と「他人のコメント欄で自分のことを語りたいだけの人」の差がはっきりと見てとれます。

「犬を飼い始めました!」という投稿に、「わー、かわいいワンちゃんですね! つぶらな瞳は飼い主さんそっくり!」と、ひたすら「犬」と「飼い主」に触れ続けるのが「誠実な関心」を持った人。一方で、「私も犬を2匹飼っているんですよ。右がチィちゃんで左がエルくん。このチィちゃんがお利口でね……」と写真入りで長々とコメントするのが「自分のことを語りたいだけの人」です。どちらの人が、「もっとこの人と話したい」と思ってもらえるか。言うまでもないでしょう。