カルロス・ゴーン氏Bloomberg/gettyimages

米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」の注目記事の要点を短時間でまとめ読みできてしまう「WSJ3分解説」。今回は年末年始に世界中を驚かせた逃亡劇を取り上げます。日産自動車の前会長であるカルロス・ゴーン被告が保釈中に無断でレバノンへ出国したことが判明しました。この一件について米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」はどう報じたのか、解説します。(ダイヤモンド編集部副編集長 鈴木崇久)

日産前会長のゴーン被告が
保釈中に無断でレバノンへ

 2019年の大晦日に大物の逃亡劇が発覚し、世界中を驚かせました。金融商品取引法違反などの罪で起訴された日産自動車の前会長であるカルロス・ゴーン被告が、保釈中に無断でレバノンへ出国したというのです。

 今回は、この一件を米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」がどのように報じたのか解説したいと思います。

 日本語版の第一報は、12月31日付けの次の記事でした。

●「ウォール・ストリート・ジャーナル」より
>>ゴーン被告がレバノン到着、保釈中に日本出国

 同記事では、関係者のコメントを引用し、無罪を主張しているゴーン被告が「日本では公正な裁判が受けられないとの考えから出国に踏み切った」と伝えています。

WSJはゴーン被告が身を潜めた
楽器ケースを写真で確認

 当局の監視下に置かれたゴーン被告は、どのようにして日本の出国審査をくぐり抜け、国籍を持つ幼少期を過ごしたレバノンへ脱出できたのか。本稿執筆時点ではいまだに謎に包まれています。そのため、今回の逃亡劇ではさまざまな情報が錯綜中です。

 その中の一つに、ゴーン被告がどのように当局の目をかいくぐったのかに関する情報があります。なんと、楽器ケースに身を潜めて国外へ脱出したという、映画のワンシーンのような話が伝わっています。

 WSJも1月4日付けの記事で、それが確かであると報道。それを裏付ける証拠についても触れています。

●「ウォール・ストリート・ジャーナル」より
>>ゴーン被告の日本脱出、やはり楽器ケース利用

 同記事は、「日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告は、音響機器の運搬に使う大型の黒いケースの中に隠れてプライベートジェット機まで運ばれ、米警備員とみられる男性2人に付き添われて日本を脱出した」と断定。「逃亡を巡るトルコ当局の捜査に詳しい複数の関係者が明らかにした」といいます。

 さらに、「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)記者は黒い箱が置かれたジェット機のキャビンの写真を確認した。箱は、角が金属で補強され、機体後方の中央通路に押し込まれていた」と、記事の中で明かしました。

 そしてWSJは、今回の一件が日本に大きな課題を突き付けたと痛烈に批判しています。