中国では、コロナに関する米中問題の話題などは人間関係を悪化させる意見の対立を生みやすい 現在の中国では、コロナに関する米中問題の話題などは人間関係を悪化させる意見の対立を生みやすい Photo:PIXTA

中国では、新型コロナウイルスの感染拡大のピークが過ぎて、経済活動も徐々に回復しつつある。その一方で、コロナ禍をきっかけに、友人や同僚、夫婦、親戚、親子などの多くの人間関係が急速に悪化するケースが目立つ。米中問題をはじめ、コロナ関係の話題を発端とした意見や見解の違いにより、お互いを強く批判し合うためだ。(日中福祉プランニング代表 王 青)

コロナ禍をきっかけに
友人に絶交宣言した有名作家

 先日、中国微博(WEIBO、中国版ツイッター)に、ある著名な作家が投稿した一通の「絶交通告」がネットで大きな波紋を呼んだ。これは60代の中国の著名な作家が長年お付合いしていた同世代の作家との関係を絶つ声明文であった。

「○○先生は、私の同僚であり、ほぼ同い年。これまで仲が良かった、お世話にもなった人だ。しかし、新型コロナウイルス禍以来、彼は、幼稚な、どこかのデマのような情報を四六時中SNSに投稿している。これらは、コロナウイルスは西側諸国が作った黄色人種だけに攻撃するウイルスだとか、アメリカ軍人が武漢に持ち込んできた陰謀だとか、イタリアでは街の至るところで人が跪(ひざまず)いて泣きながら懺悔(ざんげ)しているとか、アメリカは死者数が数えきれなくて、もう国が持たないなど、諸外国の悲惨な現状や他人の災いを喜ぶようなものばかりだ。これらの根拠もない情報をそのまま投稿し拡散する行為は、あまりに無責任で、品格がない。このような自分の立場をわきまえることができない人、正誤つけられない人とは、もう友達でいたくないのだ、縁を切る!ブラックリストに載せるんだ!この時節柄、『三観()』が合わない人と付き合いすることは、まさに時間とエネルギーの無駄だ。ここではっきりと告知する」という内容だった。

※筆者注:「三観」とは、通常「世界観、価値観、人生観」であるが、最近中国では「物事に対する考え方」をひとくくりとして使うことが多い)。