「ゾンビに来られる感じ」コロナ禍帰省で怖がられた東京人たちの悲哀Photo:PIXTA

例年とはまったく違う様子となった2021年の年明け。今年は帰省を取りやめた人も多いだろう。そんな中、慎重を期して帰省した人たちは、どのような思いを持ったのか。(フリーライター 武藤弘樹)

今年はなかった帰省ラッシュ、異例の年末年始

 新型コロナの新規感染者数が幾度も過去最多の記録を更新し、かつてない緊張感が国内を覆っている。
 
 今回の年末年始は帰省せず、自宅で過ごすことを選択する人が非常に多かった。墓参り代行といった巣ごもり需要の急増や、お歳暮ならぬ“帰歳暮”の登場、帰省ラッシュが起こらなかったことなどを見るに、例年とは異なる風景だったといえよう。
 
 新幹線の自由席の乗車率は、日や時間帯によってばらつきはあったが、「20~30%」や「50%以下」と伝えられた。こうして数字で見ると多くの人が帰省を控えたことと、帰省した人もしっかりいたということがわかる。
 
 感染拡大防止の姿勢で正解なのは「家にこもって誰とも接することなく過ごす」だが、これでは生活や経済の最低限が維持できないので、現状は各人が適宜外出して大小のリスクを負いながら過ごしている。当然、県をまたぐ移動は控えるのが好ましく、これは大前提としてここに共有しておきたい。ただ、感染のリスク管理には、たとえば「移動すると逮捕される」といった明確なルールはなく、“常識”的なラインをなんとなく共有しているだけの、いってみれば個人のさじ加減である。さらに個々人で事情や環境が違うから、これらを加味すると今年に行われた帰省を一概に悪と断じるのはなかなかの力わざであり、筆者にそのような腕力はない。
 
 ともあれ、今年帰省をした人はいた。そしてその中でも特に東京在住の人たちは、帰省先で思わぬ待遇を受けることになったようである。いくつかのエピソードを紹介したい。