監修者からのメッセージ

 総理大臣を二度つとめ、早稲田大学を作った大隈重信という人が過去を振り返って言っています。
「わたしは明治維新の立役者となった西郷隆盛や大久保利通といった人物と仕事をしてきた。世の中ではかれらを英雄と言うけれども、やはりかれらも『ひとりの生きた人間』であった。すぐれた点もあるけれど、短所だってあったのである。」


 そうなんですよね。完全無欠の偉人なんていません。歴史上の有名人も、みんな欠点をもったふつうの人間なんです。ふつうの人間が、歴史を作ってきたのです。
 だから、歴史を知るときには、昔の人たちの長所を学ぶと同時に、かれらの欠点、やばい部分を知るのも大切です。そうすることで、歴史がぐっと身近なものになる。


 さあ、「ぼくたち、わたしたち」の日本の歴史の本当のすがたをさぐってみましょう。

本郷和人(ほんごう・かずと)
東京都出身。東京大学・同大学院で石井進氏・五味文彦氏に師事し日本中世史を学ぶ。大河ドラマ『平清盛』など、ドラマ、アニメ、漫画の時代考証にも携わっている。おもな著書に『新・中世王権論』『日本史のツボ』(ともに文藝春秋)、『戦いの日本史』(KADOKAWA)、『戦国武将の明暗』(新潮社)など。監修を務めた『東大教授がおしえる やばい日本史』は子どもから大人まで幅広く読まれ、46万部突破のベストセラーに。続編『東大教授がおしえる さらに!やばい日本史』も7.5万部の人気シリーズだ。