伝統的な人気学区「第三日野小」
まずは、高級住宅地と伝統的な人気学区との関係を見ていこう。
品川区にある「目黒」駅前では、都バス営業所跡の再開発でツインタワーマンションとアマゾンも入るオフィス棟が登場した。その南側に、城南五山の1つである花房山(上大崎3丁目)がこぢんまり残る。
駅からJR山手線の内側沿い、恵比寿ガーデンプレイスの手前にかけて、「長者丸」(上大崎2丁目)と呼ばれる高級住宅地が広がる。南北朝時代には豪族が屋敷を構えていたエリアで、道路を挟んで国立科学博物館付属自然教育園の豊富な緑も残っている。昭和初期から高級官僚や実業家が住み始めた。もちろん、第一種低層住居専用地域であり、都会のど真ん中にもかかわらず駐在所まである。
さらに南下して、東五反田4・5丁目に入ると、岡山藩池田家の下屋敷からその名がついた「池田山」になる。インドネシア大使館や上皇后美智子さまの生家跡「ねむの木の庭」、池田山公園などがあり、その広がりや個々の住宅の区画の大きさからして、ここは城南五山の最高峰といっていい。
ここまで見てきた花房山と長者丸と池田山を学区とするのが第三日野小だ。品川区で最も中学受験率が高く、伝統の人気学区といっていい。
ここは東京公立小御三家の1つである白金小(港区白金台)と接する学区でもある。ちなみに、地元のママさんによると、「白金小は昔、(私立中受験日の)2月1日には6年生が誰も登校してこないのが当たり前のところでした。相変わらず受験率は高いみたい」という学区である。
これもまたディープな話ではあるが、白金小には小学校受験で失敗した子たちも多く含まれているようで、「小1ですでに親の期待に応えられず、燃え尽き症候群的な心の病を抱えている児童も複数いる。そのため、白金小に行きたくなくて第三日野小に越境してくる港区の子も各学年数名いる」というのだ。