東大農学部前にある「第六中」は区内ナンバー1、東京公立中御三家の1つとの評判も

東大に一番近い学区「誠之小」

 東京メトロ南北線「東大前」駅の1番出口から地上に出ると、そこは農学部のある東京大弥生キャンパスだ。隣には赤門のある本郷キャンパスが広がっている。本郷通りを挟んだ向かい側の本郷6丁目、東大の教官が多く住んだ西片や向丘といった閑静な住宅街を学区に含むのが、西方2丁目にある誠之(せいし)小である。

 儒学の古典『中庸』から採られたという校名は、前身となる福山藩中屋敷にあった藩校の名であり、幕末の老中首座として安政の改革を担った阿部正弘・福山藩主が採用したものという。全校生徒数は700人近く、区内でも窪町小に次ぐ規模である。3年先の完成を目指して、地下に体育館を設ける新校舎の建設工事が進んでいる。

 「教育熱心な家庭が多いため保護者の意見も強く、児童も大人びており、教員が精神的に追い詰められ辞めていくケースも」(近所に住む保護者)。こんな世評が立つくらい親の意識が高い学校ということもあってか、学区内に住んでいても別の小学校を選ぶ家庭もあるのだという。

 第一幼稚園→誠之小→第六中→小石川高→東京大が、かつての地元の黄金コースだった。現在、小石川高は小石川中等教育学校に衣替えしており、都立中高一貫校の中では一番の進学実績を誇っている。そのため、小石川も含む国公立や私立の中高一貫校受験率がこの学校では極めて高い。もし受験に失敗しても、区内一の人気校で、東京公立中御三家ともされる第六中から都立日比谷高を目指すなど、捲土重来(けんどちょうらい)を期すこともできる。