「小金井工業」は奥の端に追いやられ、白い校舎は「多摩科学技術」のものとなっている

 多摩地区には、武蔵の他にいずれも中等教育学校である3つの都立中高一貫校(三鷹、立川国際、南多摩)がある。23区と多摩地区の人口比が2:1であることを考えると、少し手厚く配置してある。

 2010年入試のデータを見ると、旧第10学区の三鷹は男子が750[38-58]、女子が760[41-57]で、武蔵野北とほぼ同様の二番手校の位置にいた。八王子市にある南多摩(旧制4高女)は男子780[40-60]、女子790[42-60]と、旧第7学区では八王子東に次ぐ二番手校だった。

 立川国際になった立川市の北多摩は10年前には男子740[38-57]、女子760[42-57]で小金井北や日野台と同じ水準である。2022年には附属小学校も併設予定で、大ブレークしている。都立としては、国際(目黒区)と港区に予定されている新国際(仮称)と並ぶ「国際」を冠した人気校で、グローバル10の指定も受けた。

 旧第7・第8学区で中高一貫校が抜けた穴を埋めるべく浮上してきたのが昭和だろう。新校舎ができたのは5年前だが、進学指導推進校でもないのに、この頃から進学実績が伸び、偏差値と人気も急上昇している。次いで、10年前には昭和と並んでいた南平も後を追って伸びている。

 旧第9・第10学区の穴埋め役は進学指導推進校の調布北(1974年創立)になりそうだ。このエリアには、現状は三番手校の位置にいるが、大学に入って何をやりたいのか、具体的な研究対象を考えているような理数系志望者の進学校として認知が高まっている多摩科学技術がある。定時制で60人を募集するだけとなった小金井工業の校地の多くを使って2010年に開校、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受け、進学指導推進校にもなっている。偏差値の上がり方を見ても、この学校はダークホースといえる。