女子受験生の増加が予想される学校

 女子受験生の場合、前年の倍率や難度が上がると、敬遠して志願者が減る隔年現象が見られる傾向にある。それは逆の場合にもいえるのだが、各校の最初の入試日に対する4つの模試の志願者数合計数値に基づく結果からは、総じて付属校人気が見て取れる。

 合計数が100人に満たないとはいえ、2倍半の増加を見せたのが日大第一であり、60%台の増加が日大藤沢である。次いで、50%台に国学院久我山が顔を出している。

 日本大学とは日本の平均的な大学であり、その系列校の人気は昨今の冒険をしない受験生、特に女子の動向を顕著に反映している。2021年入試も日大系列校への注目は高そうだ。

 40%台の増加校には、かえつ有明と志願者合計が200人近い女子校の山脇学園がある。共学校とはいっても、国学院久我山は男女が別の校舎で学ぶ構内別学校である。かえつ有明も中学校はそうだったが、かえつ有明が男女共に人気が上昇傾向にある理由としては、オンライン入試や授業など、時代に合わせた取り組みに積極的な姿勢が評価された側面があるものと思われる。

 30%台の増加校には付属校が並んだ。東海大相模と東洋大京北である。こちらも日大の系列校と同様の安定志向が見て取れるかもしれない。

 年々人気が高まり、学校説明会の予約がすぐに埋まってしまうのが女子美術大付属だ。この学校は上手さよりも絵の好きな生徒に入学を呼び掛けている。芸術系の学校はSTEAM教育の時代には大切な役割を担う。わずかに届かなかったが、ここも30%台の増加校といっていい。志願者数合計も200人を超えた。

 男子の駒場東邦に匹敵するほど志願者を集めたのが、女子の友学園で、770人超と女子校では群を抜いている。御三家など女子難関校の併願校の定番でもあるが、ここを第一志望とする受験生も多いことだろう。20%台半ばの増加率となっている。他に20%台の増加校としては、いずれも100人に満たないが、十文字、東京都市大学等々力がある。

 もともとの志願者数合計が大きいため増加率が10%台だが、共学校の渋谷教育学園渋谷は男子志願者と比べると圧倒的に人気で、400人に迫る勢いだ。もう1校、昨年はいつもの入試日が日曜日だったため翌日に移した青山学院が2021年はいつもの2月2日に戻る。志願者数合計が900人台半ばと女子受験生人気ナンバーワンとなっている。

 入試日ごとにそれ以外の学校についても見ていくと、2月1日は前年受験生が減少傾向だった大妻が20%台と回復基調にある。志願者数合計が20人台と少ないものの、日本女子大学附属と成城学園の増加率は大きい。

 2日入試では、志願者数合計が30人台ではあるが、品川女子学院(2回)と田園調布学園(2回)が10%台の伸びを示している。

 青山学院の抜けた3日は、その重しが取れたのか、増加傾向にある入試が多い。特に、日本女子大学附属(2回)と成城学園(2回)は大人気となりそうだ。東洋英和女学院(B)や大妻(3回)、東京女学館(4回)は10%台の増加となっている。

 女子の最後に付け加えると、志願者数で顕著な動きは見られないが、中学受験塾が偏差値を上方修正すると見られるのが昭和女子大附属昭和だ。