女子学院の大問4で問われた正八角柱の展開図
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処理速度が問われる女子学院

 22年度の女子学院の算数問題は、1枚目に大問1(1)~(6)があり、11個の回答欄があった。2枚目には大問2~4があり、12個の回答欄があった。3枚目には大問5・6があり、回答欄は12個あった。

 次は、女子学院です。問題自体はやさしそうに見えるかもしれませんが、40分という短い時間内に、問題用紙の2枚目の半ばを解いて終わる受験生が大多数です。経験的に、3枚目までたどり着けたらほとんど合格となります。

 これは私の感覚ですが、今年は平均点が低い。50点台でしょう。受験生の平均点が合格者の最低点となる、それくらいでいけるかなと勝手に妄想しています。短い時間で問題を処理させる、なかなか厄介な学校ですね。

大問1で問われた3つの図形問題は女子学院では必須の内容
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 女子学院は図形問題に特徴があります。22年入試の大問1にあるような角度や面積を問うものは、この学校の典型的な問題ですから、絶対的に練習をしておかなければいけません(図5)。角度の問題は正三角形や二等辺三角形、ひし形を見つけることに気を付けると、だいたい問題は解けることになっています。

 では、橋本先生、図4の大問4をよろしくお願いします。

 

橋本隆佑(はしもと・りゅうすけ)
さとえ学園小学校教頭。慶應義塾大学経済学部卒。英進館(福岡)算数科総主幹を務め、灘・開成の合格者を多数輩出。塾講師の経験を経て2021年より現職。

橋本 正八角柱の展開図の問題を扱いたいと思います。女子学院では、意外と学校の教科書に出てくるような内容も出題されます。大問4のような展開図にするには何本の辺を切ればいいのか。長方形Aをこの展開図のどこの部分に付けたらいいのか。これを解くのに、特殊な知識は必要ありません。しかし、知らないと“あれっ”となってしまいますから、5年生の皆さんは、いまのうちに知っておくべきと思い取り上げます。

 この展開図は正八角柱なので、底面が2つあります。切り取って組み立てると、足りない面が出てきます。最初の問いアは、その欠けている“虫歯”を見つけてください。

 

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 次に、その下の問いを見ていきます。右側に三角柱の図が載っています。〈図1〉はその三角柱を、小さな子がよくやるバラバラな状態にすべて切り離してしまったものです。すべての面の辺の数の和はいくつか。3枚の四角形と2枚の三角形があるので、辺の数の和は、3×4+2×3=18で、イの答えは18となります。

 次の問いは、そのうち何組の辺を付けると〈図2〉のような展開図になるのか。それは、図6のように〈図1〉の8つの辺を4カ所で付けることになるので、ウの答えは4となります。

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 三角柱を何回切ると、〈図2〉のような展開図になるのか、という問いがエです。バラバラな状態では18の辺がありました。このうちの8本を4カ所で付けると〈図2〉になりましたね。切る回数は18-8で10になるのかというと、そもそも三角柱の辺の数は9本しかないので、10回切ることはできません。ここで引っかからないようにしましょうね。

 そうではなくて、先ほどの10本の2つの辺が付いている部分を切ることになるので、(18-8)÷2=5回というのがエの答えとなります。

 皆さんには、必要最低限を切るという考え方を持ってほしいと思います。別の解き方も見ておきましょう。よく見る図7のような三角柱の展開図は三枚の長方形が並んでいて、真ん中の上下に三角形が付いたものですよね。ここで、面は全部つながったままにしないといけません。面が5つあると、その間の辺の数は4つです。(面の数)-1=間の辺の数という植木算の考え方です。したがって、切る回数は、(辺の数)-(面の数-1)になります。三角柱の辺は9、面は5ですから、切る回数は9-(5-1)=5で、エの答えはやはり5回ということになります。

 同様に、辺が90本で面が32ある三十角柱の場合には、切る回数は90-(32-1)=59で、オの答えは59となります。

 素晴らしい解説をいただきました。この問題、今回の入試で非常に大事なところでした。いまの考え方、身に付けておいてください。女子学院に限らず、他の学校でもよく出題されますから。