麻布の図形問題のポイント
金 次は麻布です。麻布は回答欄付きの問題用紙が3枚あって、1枚目が割合と基本的な問題が多く、2枚目は難しい、3枚目はどちらともいえないという傾向になっています。では、橋本先生、引き続きよろしくお願いします。
橋本 時間がなくなってきたので、麻布の2枚目にある大問5の、図形問題のポイントだけをお話しします。(1)は三角形ACG、(2)は三角形AJG、(3)は三角形JKLの面積をそれぞれ求めなさいという問題です。
正六角形はよく出題されますし、受験生は小5の終わりから小6にかけて、ひたすら相似形の練習をすると思います。この問題では、相似形を見つけて、最後は真ん中の三角形の面積を求めるという誘導がなされていますので、どの受験生であっても、しっかり解いてほしいと思います。
また、麻布の問題は、大問の構成がしっかりしています。ですから、小問の誘導にしたがって、(3)まで考える力を練習するのにもってこいの問題ですね。
(1)は三角形ACGの面積です。図9にはAとCを結ぶ線が書いてありませんから、図10のようにこの線を書き入れます。三角形ACFの面積は、正六角形の3分の1なので、6×1/3=2(平方センチメートル)となり、ACGはこれを1:2に分けた面積なので、2×1/(1+2)=2/3(平方センチメートル)です。
(2)の三角形AJGの面積は、(1)で求めた三角形ACGの面積を利用します。これをCJとJGで分ければよいので、CJ:JGを求めることを考えます。ここで相似形を探すのですが、そのままではうまく見つかりません。
そこで、AIとCDをそれぞれ延長して、図11のように三角形AJGと相似形になる三角形CPJを作ります。このように延長して相似形を作るには、とても訓練が必要となりますから、これから1年かけてしっかりと練習してほしいですね。CJ:JG=6:1なので、2/3×1/(6+1)=2/21(平方センチメートル)となります。
(3)では三角形JKLの面積を求めます。(1)と(2)の誘導にのって考えられるかがポイントとなります。この正六角形には、120度回転して、2:1のFG:GA、BH:HC、DI:IEがありますから、対称性というか、同じものができあがるのだろうなというイメージを持ってもらいたいと思います。すなわち、四角形ABCJ、CDEK、AFELが同じ形をしていることに気がつくかどうかです。
そこに気づくことができれば、四角形ABCJは、三角形ABCと(1)で求めた三角形ACGを足して、(2)で求めた三角形AJGを引くことで求められます。正六角形ABCDEFから四角形ABCJ、CDEK、AFELの3つ引くと、三角形JKLが残りますね。計算はご自分でやってみてください。
金 この形はまだ出ますよ。しっかり頭に入れてほしいです。女子学院でも似たような切り方で六角形が出ていました。いざとなると、あせっちゃうのか、みんなできないですよね。
駒場東邦前校長の平野先生、お待たせしました。ここまでご覧になって、いかがでしたか。
平野 どの学校でも、文章を読んで、何を聞いているのかを理解するのもちょっと大変だなと感じる問題があるな、と思いました。
金 そうですね。私たちも、ちょっと文書の読解に困ることがあります。特に、数の性質の問題などで考え込んでしまうこともあります。
駒場東邦の問題は、算数よりも数学に近い問題が多いといわれます。算数オリンピック委員会所属の春日先生も、今度使いたいような問題が多い学校だと言っていました。今日は平野先生が扱ってみたい問題がありましたら、よろしくお願いします。