10年来の低迷からの脱却
――世田谷キャンパスは女の園というわけではなく、実際には共学の文化もあるのですね。
坂東 多様性に富んでいます。附属中高と大学の学部は女子校であることに意味があると思います。特に思春期から青年前期の、まだ自分に自信のない、自己肯定感や社会観が確立していない段階では。
共学校では、同級生の未熟な男の子が、「女のくせにナマイキ」だとか、「そんなに勉強ができる女の子は将来モテない」といった心ないことを口走ったりします。それが女子を萎縮させています。女性には何でもやればできるという、自分に自信を与える経験、成功体験が必要だと思います。
――2020年の中学入試では志願者が非常に増加して人気となりましたが。
坂東 変革努力を続けてきたのですが、昨年やっと伸びました。2021年はこれよりもさらに上に行きます。進学塾の先生方にも意気込みをようやく理解していただけたと思います。大学と連動した「五修生」(中高6年の教育課程を5年間で修了し1年早く昭和女子大学で学ぶ制度)やダブルディグリー制度もそうですが、中高できちんと学力をつけ、他大を含めた進学支援に注力します。例えば、総合医療系大学の昭和大学からも医学部の推薦枠をいただいています。
――スーパーサイエンスコースというのも設けられましたね。
坂東 マナーやしつけ、一般の学力も必要ですが、昭和女子大学の強みとする英語も含めたグローバルに通用する力、そしてこれからは理数系、デジタルサイエンスも不可欠ということで力を入れていきます。
導入当初は、中学入試でスーパーサイエンスコースを募集しても受験生から敬遠されると考えて、中3のときにコース分けをしていましたが、2021年からは、本科、グローバル留学コースに加えて、スーパーサイエンスコースを中学入学時から募集します。
――それはいいことですね。ところで、戦後、中高一貫教育を始めたのは、昭和女子と桐朋女子が最初でした。いわばパイオニアだったわけですね。
坂東 人見楠郎(くすお)先生という2代目の理事長が、とても初等中等教育に熱心で、どんどん新しいことをするチャレンジャーでした。
2017年に附属中高の卒業生で英語教育を専門とする当時の金子朝子学長(現・学校法人昭和女子大学副理事長、特任教授)に附属中高の校長を兼務してもらい、中高独自の行事カリキュラムの見直し、グローバル留学コースの強化などに力を入れました。
その後、新たに真下峯子先生という理数系教育に実績のある非常にパワフルな方に附属中校の校長として来ていただきました。有名大学への進学実績をもっと出すよう、まずは学力を上げていきましょうと取り組んでいるところです。