
上久保誠人
第15回
「マニフェスト」違反や震災対応の混乱で、民主党政権の「政治主導」に対する批判が厳しさを増している。だがこれらは、50年以上も自民党長期政権が続いた、他の議会制民主主義国にない日本独特の状況を考慮していない。

第14回
菅首相がエネルギー政策大転換の方針を表明したが、十分な議論のない点が厳しく批判されている。「菅降ろし」を凌ぎ切った菅首相だが、その政権運営や政治手法に対する自己中心的・独断的との反感は、更に広がった。

第13回
東日本大震災の対応で、組織のリーダーが厳しく批判されている。一方「現場力」に注目が集まり、「現場」での威厳ある日本人の姿を世界中が称賛している。日本の強さが「現場力」にあるのは確かだが、それを絶対視して批判を許さないような、現在の風潮には違和感がある。

第12回
退陣表明をしたはずの菅直人首相が、その時期を明確にせず、新たな政策課題を次々と打ち出した。国会の大幅な会期延長も決定し、復興担当相の任命とともに内閣改造の噂も流れている。野党は「政権への居座り」だと反発を強めているが、菅首相を退陣させる有効な手立てはない。

第11回
民主党「反菅勢力」や野党は、震災復興に与野党が一致協力するために菅首相の辞任が必要と主張した。だが、それは表向きの話だ。本音は、「倒閣」のために大震災が作り出した有利な状況を利用したのだ。

第10回
復興構想会議はじめ政府の「審議会」は、一見「民主的」なものと思える。だが、実際に参加できるのは御用学者や、財界、業界、労組などの代表だけで、政治とのつながりを持たない大多数の国民は意思決定から排除される。

第9回
菅直人首相が中部電力に対し、浜岡原子力発電所の全面的な運転停止を要請した。だが、菅首相の決断は停止要請決定から発表に至るまでの手続き面に不備があり「唐突」であると批判されている。

第8回
東日本大震災から1ヵ月、震災が日本に与えたダメージの甚大さを痛感させられる。日本の製造業の技術力のアドバンテージは失われ、日本国内から製造業の生産拠点が大幅に縮小するかもしれない。そうなれば、日本企業は若者の新規雇用枠を更に縮小させるのは必至だ。

第7回
東日本大震災の「復旧」段階では与野党協調が必要だが、「復興」段階に至ったら政治休戦はやめ「国家構想」を巡る議論を戦わせるべきだ。「復興」段階で民主党政権は「4K」の意義と国家構想を堂々と展開するべきである。

第6回
大震災3日後の3月14日から、19日までデンマークに出張した。デンマークのTVでも大震災が多く取り上げられ、私の参加した研究会でも、デンマークの大学教授たちから、日本人の威厳ある姿は驚くべき事と称えられた。

第5回
前原外相が辞任した背景には、些細なことにヒステリックになる国民に対する「不信感」がある。今回は、キャメロン政権の英国と菅政権の日本の財政改革を、政治と国民の「信頼」に焦点を当てて比較する。

第4回
野党は民主党外交のすべてを批判する。政治の本質は権力闘争なのだから当然のことだ。しかしその中身が、ただ批判のための批判になっている。それは、日本の「国家像」を決めずに外交を評価しているからだ。

第3回
小沢氏に求められた「説明責任」、強制起訴段階での「推定無罪」の原則尊重、議論不十分のまま強行された「問責閣僚の交代」、それを導いた強すぎる「参院改革」。昨今の「政治の自殺行為」を4つのキーワードで考える。

第2回
菅政権が内閣改造・党役員人事を行った。仙谷官房長官、馬淵国土交通相の交代が第一の目的だったが、最も注目を集めているのは、与謝野馨氏の経財相起用だ。今回は、与謝野氏の入閣が政局に与える影響を考える。

第1回
菅直人政権が厳しい状況に追い込まれている。小沢氏の政倫審出席を巡る党内対立の激化する一方で、「ねじれ国会」下で、国会運営は難航が必至だ。今回は今後の政局を、政治家の行動と政治制度の関連から考える。

第65回(最終回)
前々回、「政治に信頼はいらない」と論じた(第63回)が、この議論を一歩進めて、実は「政治家が国民を信頼していない」ことこそが、より深刻だと論じたい。

第64回
領土問題、資源外交、国際通貨体制、自由貿易体制など我が国の対応を問われる局面が増えている。今こそ、日本の「国家戦略」を語るべき時だろう。今回は「英米系地政学」を基にした日本の国家戦略を構想する。

第63回
政治学者・行政学者の多くは、80年代後半以降の内閣支持率の乱高下の背景には国民の「政治不信」があるとし、政治が「信頼」を取り戻すことが重要であると主張するが、それが本当に政治の安定につながるのだろうか。

第62回
菅直人政権が、「事業仕分け」第3弾と、2011年度予算の「元気な日本復活特別枠」配分を決める「政策コンテスト」に取り組んでいる。「政治主導」による予算編成を目指すものだが、その手法の限界が見えてきている。

第61回
菅政権が税制改革に着手した。政府税調の改革は、迷走が続いた鳩山政権のほぼ唯一の隠れた成果だ。それを生かして抜本的な税制改革を成し遂げられるか。そして、頓挫したはずの「財務省解体」に再び挑戦するのか。
