
真壁昭夫
外交交渉をビジネス交渉と取り違えているトランプ政権は、今後も北朝鮮への強硬姿勢をとり、中国に圧力行使を迫るだろう。その結果、北朝鮮問題を巡る国際的な議論の中で米国は孤立する恐れがある。

韓国の文大統領はわが国とのシャトル外交の再開に合意した。ただ、本気でわが国との関係改善を図ろうとしているかは疑問だ。中でも、慰安婦問題を再び蒸し返す意図が見られる。日韓関係が冷え込む展開も考えられる。

2期目の政権運営を狙う習近平国家主席は、政治ライバルへの取り締まりを強め、主要ポストに自分の息のかかった人物を据える一方、対立する大物政治家を追い落とす姿勢が明確。対外的には力の外交を推し進めるはずだ。

韓国の文在寅氏が大統領に就任してから約2ヵ月が経過した。同氏の北朝鮮に対する基本姿勢は対話重視。しかし、北朝鮮にはまともな対話をする意思があるようには見えない。文大統領はどうするつもりなのか。

企業業績が改善する一方、主要国の金融緩和策の"流動性相場"が世界の株式市場を支えてきた。その金融政策が、わが国を除く欧米先進国で転機を迎えている。株式市場にとっては、かなり大きな環境変化になることだろう。

30年ぶりの新記録である公式戦29連勝など、藤井プロの話題には事欠かない。特に関心を集めているのが、藤井四段が、AIを用いた将棋ソフトを使って技の研究を行ってきたことだ。

ネットを通じてさまざまな取引ができるようになり、その膨大なデータが新たなビジネスチャンスを生む社会では、ネットワーク空間を囲い込むことが収益拡大につながる。その競争の先頭を走るアマゾンだが、ネットワーク社会の落とし穴も潜んでいる

米国連邦準備理事会(FRB)が4回目の利上げに続いて、秋からは量的緩和策で買い入れた米国債などの残高削減を始める見通しだ。金融正常化へ動き出したFRBだが、これまでの緩和策による「過剰なドル」で守られてきた世界経済が混乱しかねない新たなリスクもある。

仮想通貨(ビットコイン)の高騰は、金余りで流れ込んだ投資資金の流入が背景にあるが、IT技術の進歩で様々な機能を持った仮想通貨が生まれていることもある。仮想通貨が、金融取引やサービスなど、社会全体のイノベーション(革新)を進めるという期待だ。

G7サミットは、「自国優先主義」の米国・トランプ大統領と欧州首脳、中でもメルケル・独首相とが、自由貿易や地球温暖化の「パリ協定」を巡って対立。世界経済の舵取りに不安を残した。米独の足並みの乱れで株価が暴落した「30年前の悪夢」を思い起こさせる。

ソフトバンクが中東産油国などと共同で作った「10兆円ファンド」は米中が突出していた世界のベンチャーファンドの世界を変える可能性がある。それだけでなくソフトバンク自体もソフトバンクでなくなるかもしれない。孫正義氏が見据えるものは何なのか。

買収した海外子会社の損失がもとで、巨額の債務超過に陥った東芝が上場廃止の危機にある。損失を計上した決算が監査人のお墨付きを得られないうえに、債務超過解消のために打ち出した半導体事業の売却も難航する。株式市場から東芝が姿を消す日が来るのか。

韓国で誕生した革新系の文在寅新大統領は、対北朝鮮外交では日米と距離を置き、経済の再建でも財閥に依存した経済構造を変えるなど、これまでの保守政権と異なるアプローチを掲げる。だが舵取り次第では、国際的孤立と国内混乱で、朝鮮半島情勢が一層、不安定になる懸念がある。

ソニーの業績悪化を引き金に平均株価がバブル崩壊後最安値を記録した「ソニーショック」から15年。ソニーの好決算見通しが注目されている。強みだった本業のモノ作りに回帰する復活の戦略は、停滞が続く日本経済再生のヒントになるかもしれない。

東芝に次いで日本郵政でも買収した海外子会社で巨額の損失を出した。国内市場が飽和状態になり、グローバル化を加速させる日本企業が急増するが、リスクが高いうえに、マネジメントは不慣れな点が少なくない。海外買収戦略の見直しが迫られる事態だ。

朝鮮半島で一触即発の緊張が続いている。今後の事態が見通せないのは、中国、米国、ロシアの「大国」の思惑と利害が複雑にからんでいるからだ。大国の思惑を推し量りながら、門外漢の経済学者が北朝鮮の「近未来」を大胆予測してみた。

戦後3番目の長さの景気回復になった“アベノミクス景気”だが、肌感覚では回復を実感しづらい。超金融緩和と「官製春闘」、円安で支えられたのが実情で、個人消費などは低迷が続いている。朝鮮半島情勢の緊迫や過剰債務を抱える中国など、海外経済に不確実性が増す中で、年後半以降は、下押し圧力が強まりそうだ。

第474回
失業率は22年ぶりの低水準になり、労働市場のひっ迫はバブル期に迫る。人手不足のもとでは、長時間労働を減らそうという「働き方改革」も、省力化や生産性を上げる取り組みが伴わないと、実現するのは一部の大企業だけに終わる。改革の“矛盾”が表面化しかねない。

第473回
東芝が、米原発子会社、ウェスチングハウス(WH)の破産法適用を申請、「東芝経営危機」は新たな局面を迎えた。東芝では、収益を支える虎の子の半導体事業を売却し2018年3月期での債務超過を解消したいというが、見通しは立っていない。名門企業をここまで追い込んだのは、経営陣の“暴走”を止められなかったコーポレートガバナンス(企業統治)の不全だ。

第472回
英国のメイ首相は3月29日にEU基本条約の第50条を発動し、正式にEU離脱(ブレグジット)の通告を行うことを決めた。しかし、今後、どのようにブレグジット交渉が進展するかはかなり不透明だ。この影響は大きい。
