
山崎 元
第178回
福島原発事故に伴う東京電力の賠償に関わるスキームの政府案が報道された。賠償の範囲も金額も発表されないうちに、支援の仕組みが発表される順番自体が相当に不思議だが、その内容も随分奇妙なものだった。

第174回
学生向けに、おカネについて考えるための話を作ってみた。たとえば、会社に入って次の3人の先輩がそれぞれおカネについてアドバイスをしてくれたとすれば、どの先輩を師とするのがいいか?

第177回
五百旗頭真防衛大学校長を議長とする東日本大震災復興構想会議が発足し、4月14日に第1回目の会合が行われた。不謹慎かも知れないが、このニュースを見て最初に思ったのは、ダメな会社の会議に似ているということだった。

第173回
新入社員がオフィスにやって来る時期になった。史上最も厳しいといわれた就職戦線を勝ち抜いてきた新入社員だけに、先輩たちの期待も大きい。新入社員たちが本稿を目にする頃には、社内のさまざまな福利厚生制度についてひととおり説明を受けたところだろう。

第176回
東京都知事選で4選を決めた石原知事は、NHKのインタビューで、「我欲を抑えて、自分の生活をつましくするつもりの決心をしないなら、この日本は保たない」と熱弁をふるった。しかし、こと経済に関しては、少なくとも短期的には国民が「生活をつましくする」ことを意識すると、それこそ「保たない」のではないかと心配になる。

第172回
資産配分。最近では、英語のアセットアロケーションのほうが通りがいいかもしれないが、内外の株式や債券といったおおまかな資産分類に対して運用資金をどう配分するかを決める作業だ。通常、運用パフォーマンスの大半を決定する重要なプロセスだ。

第175回
首都圏でも桜の開花が進み、花見の環境が整ってきたが、石原都知事の自粛発言もあって、花見ムードにブレーキがかかった。むろん宴会だけで景気浮揚は出来ないが、気分の盛り上がりも「景気」には重要だ。菅首相も「反自粛」の明確なメッセージを発するべき頃合いではないか。

第171回
東日本大震災が起こってから5日目の夜にこの原稿を書いている。被災された方がたには、心よりお見舞いを申し上げたい。地震に無関係なことを考えようと思っても今は無理なので、今回は大災害と個人の資産運用について書く。

第174回
今回の震災の復興に当たって、最低でも10兆円、おそらく妥当な額として20兆円程度の国家予算の投入が必要だろうという点については、今のところ、大きな議論の隔たりはないように見受けられる。世間の議論が分かれるのは、その財源であり資金調達方法だ。筆者の考えをお伝えしよう。

第170回
さる3月2日、ネット証券4社の社長が共同記者会見を開き、4社が投資信託販売で協力することを発表した。今後、合同で個人投資家向けのイベントを開くほか、共同のホームページを立ち上げて、個人投資家にネット証券を通じた投信への投資を呼びかける。

第173回
総選挙時、民主党が掲げた「コンクリートから人へ」というキャッチフレーズは、今こそ思い出す価値がある。端的にいって、被災者に対して、被害によってある程度の差を付けながら、生活再建のための「現金」を配ることが必要であり、同時に効果的ではないだろうか。

第172回
大震災を受けて、国内政治は休戦状態に移行した。野党の判断は評価できる。だが大災害が発生したからといって、これまでの問題が自然に解決するわけでもない。被災地の復興が長期間に及ぶことを考えると、災害関連以外の問題の適切な処理は被災地支援にも関わる問題だ。

第169回
経営の神様ことピーター・F・ドラッカーがブームになっている。書名にドラッカーの名前を冠する本は数多いが、『決定版 ドラッカー名言集』は手元に置いて何度も読み返したくなる本だ。運用ビジネスの観点から、ドラッカーを読むとどんな感じか。

第171回
マーケティングに脳神経科学を応用する動きはおそらく止めることができないし、規制で止めることが好ましいともいえない。しかし、マーケティングは顧客の意思を操作することを目的の一部としている。予防的な教育、情報提供が必要なのではないか。

第168回
夫の小づかいは、将来に向けた投資であり、保険でもある。そして、期待リターンも高い。妻に対してそう言い切れるならどんなに好都合か、と思われる男性読者も少なくなかろう。しかし、説得力がない。

第170回
仮に近く総選挙があるとしても、民主党Aも、民主党Bも、自民党も、あるいは自民党と公明党を合わせても、単独過半数を取ることはできそうにない。その結果、いわゆる政界再編成が起こる可能性が大きい。しかし、この場合、どのような政策上の対立軸があるのか。

第167回
市場平均並みの利回り実現を目指す「インデックス運用」がいいのか、市場平均を上回る利回りを目指す「アクティブ運用」がいいのか──この論争には、それぞれに熱烈な信者がおり、「神学論争」にもたとえられる。

第169回
銀行窓口における投資信託販売、通称「銀行窓販」が急回復している。証券会社と殆ど変わらないリスクの大きさと、手数料の厚さの商品を積極的に販売するようになった銀行の投信販売は今や、すっかり「肉食系」になったと言っていい。

第166回
筆者が獨協大学で担当している「金融資産運用論」の秋学期の試験の1題として、行動ファイナンスが運用商品の開発にどのように応用できるか、を出題した。

第168回
日本相撲協会の八百長問題への対応は、目下、とても及第点とはいえないが、考えようによっては、現在は大相撲を抜本的に改革するチャンスだ。「取り組み」という「商品」の品質に対して生じた疑義を全力で払拭できれば、大相撲の再生は可能だと思う。
