小栗勘太郎
第98回
グレン・グールドは、“もっと自由にバッハを弾いて良いのだ”と身をもって証明しました。彼にかかればバッハが一瞬ジャズの如く響いてきます。では、世の常識を覆すようなグールドのレコードは、どうやって誕生したのでしょうか?

第97回
ミッシェル・ルグランは、ジャズとクラシック、言葉と音楽、恋愛と戦争、という異質な組み合わせの衝突から、高次元の結晶を生み出しました。今週の音盤「シェルブールの雨傘」には、その妙味が詰まっています。

第96回
「フル・ハウス」は数多在るジャズのライブ盤の最高峰です。この音盤の成功は、ウェス率いる音楽家たちの演奏の賜物であり、この舞台を設定したプロデューサーの企画力と情熱があればこそでした。1963年、ライブハウスを満員(フルハウス)にした演奏には、様々なドラマがありました。

第95回
今週の音盤、ウェス・モンゴメリーの「インクレディブル・ジャズ・ギター」は、ジャズ史に残る真に偉大な業績のひとつです。ジャズの世界ではマイナーな存在だったギターの潜在力を顕在化させ、表現の地平線を大きく拡大したのです。

第94回
クランベリーズこそは、自然体で個性を屹立させているバンドです。自分達らしくあり続けることで、誰にも似ていないクランベリーズ・サウンドが生まれ、それが今も輝き続けています。

第93回
銀幕のロビン・ウィリアムズは、彼が語る何気ない台詞の中に、人生の真理とでも言うべきものを感じさせてくれた稀有な俳優でした。彼の残した映画群はこれからも輝き続け、そして観る者に元気と夢と本当の自由を与え続けるでしょう。

第92回
ウェザー・リポートは、ジャズの歴史の中では、音楽的にも商業的にも最も成功し影響力を持ったバンドです。ウェザー・リポートを聴けば、徹底的に自己主張することで最強のチーム・プレイが生まれるのだと実感することができるでしょう。

第91回
1969年8月、米国の農場で開催さた世界初の大規模野外コンサート“ウッドストック・フェスティバル”。出演アーティストは30組以上、観客は推定40万人以上と推定されています。ウッドストックは、若者が熱狂した最先端の音楽の祭典というだけではなく、当時の社会の様相をも象徴する出来事となりました。

第90回
20歳のブラームスは旅の終盤、シューマン夫妻と運命的に出会いました。ロベルト・シューマンが与えた音楽的影響に加えて、彼の妻クララ・シューマンへの思慕は、ブラームスの内面を掻き毟りました。今週の音盤には、そんなブラームスの赤心が現れていることを感じます。

第89回
若き日の旅が、その後の人生を決定づけることがあります。生れ落ちた境遇が大層貧しかったブラームスは、19歳の春にとある人物と出会い、突然旅が始まりました。“音楽武者修行”では、どんな出会いが待っていたのでしょうか。

第88回
ボストンは、バンドではありますが、その実態はトム・ショルツの個人プロジェクトです。今週の音盤「ドント・ルック・バック」の完成度の高さは、徹底的に“こだわる”曲創りと音創りを可能にするショルツによる一人多重録音に秘密がありました。

第87回
フランス近代音楽の天才作曲家・ラヴェルの「ボレロ」は晩年の最高傑作です。そこにあるのは「反復と変化」という音楽の原理。「水戸黄門」の主題歌と同じリズムのこの曲は、音楽的な反復に安心感を得る人間の性を反映しています。

第86回
セロニアス・モンクは、個性的なピアニストであり優れた作曲家でしたが、30歳になっても自身のレコードを発表できないままでした。しかし、マイルス・デイビスなど“発見者たち”の存在により、モンクの運命の扉が開き、ジャズの歴史が大きく前進したのです。

第85回
心安らぐ歌こそ、厳しい競争に疲れた時の一服の清涼剤です。目を閉じて歌に身をまかせれば、優しく癒される。それで再び、チカラが湧いてくる。“ネスカフェ”のCMにも使用されたロバータ・フラックの「やさしく歌って」はそんな歌です。

第84回
Superflyは、欧米のロック黄金時代への強烈な憧れを抱く日本のロックが到達した最高地点です。今週の音盤「Superfly」の“1969“という曲には、1969年への憧れを歌っていて、Superflyの音楽的志向を明確に示しています。

第83回
知的財産権などの法的な枠組みのなかった時代、秘儀の伝承か独占かの間で格闘した作曲家でありヴァイオリニストでもあるニコロ・パガニーニ。たった1台のヴァイオリンで主旋律を際立たせながら、対旋律と伴奏も弾く驚異的な技の持ち主でした。

第82回
ジャズ巨人列伝に名を連ねる即興の天才、アート・ペッパー。感受性豊かな彼は、心に感じるものをアルト・サックスで表現しようとしていました。しかし、その感受性は精神的な脆さと繋がっていたのかもしれません。そんな彼の壮絶な人生とは…。

第81回
最近の音楽に物足りなさを感じることはありませんか?本物のロックを聴きたくなったら、オールマン・ブラザーズ・バンドを聴いてみてください。バンド全体が一つの楽器と化して奏でる旋律には、ロックの真髄が詰まっています。

第80回
いまや森山直太朗の「さくら(独唱)」は卒業式のスタンダードとなりました。桜を通じて卒業を描いたこの名曲は、登場こそ地味で控えめでしたが、シンプルでありながら美しい旋律、そして直太朗が持つ才能と声により、平成の大ヒット曲となったのです。

第79回
ソチ・五輪で繰り広げられる数々のドラマに共通している要素は、人との出会いです。ボヘミアの片田舎に生まれた少年がプラハで恩師に出会って大作曲家となり、次いで新大陸・アメリカと出会い、交響曲の中でも燦然と輝く名曲中の名曲を生み出しました。
