千本木啓文
JR東海の次期社長に、丹羽俊介副社長が就任することが決まった。“6人抜き”の異例のスピード出世となる。JR東海がトップの世代交代を急いだ背景には、何があるのか。新社長に課せられた経営課題に切り込みながら、トップ人事の裏側を解説する。

農協を三つの減益ショックが襲っている。農林中央金庫が、農協が集めた預金に対して支払っていた奨励金の減額という従来の減益リスクに、農中からの配当金の減少と、職員による保険(共済)の「自腹営業」への監視強化という二つの利益下振れ要因が加わる。ダイヤモンド編集部の試算では全国の農協の減益額は1182億円に上った。

#52
工場で働くロボットの世界四大メーカーの一角を占める安川電機は、新型コロナウイルス発生後、3期連続で増収増益を見込む。安川電機の小笠原浩会長兼社長に、同社の強みである“データドリブン経営”の秘訣を聞いた。

ダイヤモンド編集部は、自衛官らに「武器」などの評価を聞くアンケートを実施し、108人から回答を得た。防衛の最前線にいる自衛官が選ぶ「海外に売れない武器ランキング」をお届けする。総じて「海外製より割高」なことが売れない理由だが、中には「使いにくい」という致命的な評価もあった。有事の発生リスクが高まっていることから、世界の武器市場は空前の活況を呈している。早急な“改良”なくして商機を逸してしまうかもしれない。

#29
三菱電機は2022年10月、品質検査不正が発覚してから1年4カ月にわたって実施した調査の報告書を公表した。三菱電機はこれを節目に、事業の立て直しや成長のフェーズに移れるのか。同社の漆間啓社長に、経営再建の課題を聞いた。

#27
2021年に約1兆円を投じた米IT企業の買収という大博打に出た日立製作所とパナソニック ホールディングス――。巨額買収から1年余りたち、その明暗が分かれている。巨額買収の成否や車載機器事業で格差が拡大しそうな23年の電機業界を予想する。

番外編
国鉄分割民営化時に、JR東海には最低限の土地しか分け与えられず、同社が不満を募らせていた品川駅で、新たな土地の割譲が行われたことが分かった。JR東海がリニア中央新幹線品川駅の用地としてサッカーコート約1.4面分もの用地を獲得していたのだ。しかし、品川駅の大地主であるJR東日本と、狭隘(きょうあい)な土地に押し込められているJR東海の確執は解消されそうにない。

#8
JR東海は、JR7社の中で最も給与が高く、就職希望者に人気の企業だった。だが、新型コロナウイルスの感染拡大後、社員によってはボーナスが約100万円も下がり、鉄道事業の現場では人材流出の危機感が高まっているという。JR各社の給与水準を比較するとともに、ボーナス激減や離職者急増の実態を明らかにする。

#7
JR東海の葛西敬之名誉会長は、「正しい」と信じたことを実現するためには敵をつくることもいとわなかった。JR東日本をはじめとしたJR他社ともあつれきを生じていた。例えば、「フルムーン夫婦グリーンパス」などの乗り放題チケットに、JR東海だけが全面協力してこなかった。葛西氏の死去を受けて、乗り放題チケットの適用対象や、JR東海と他社の関係がどのように変わるのかに迫った。

#6
JR東海の葛西敬之名誉会長は、「インフラ輸出」という安倍政権の成長戦略に乗じて、米国などにリニアモーターカーや新幹線を輸出しようとした。しかし、各地域で開発プロジェクトが浮かんでは消え、輸出による成長戦略はいまや風前のともしびだ。高速鉄道の輸出という虚構のために、血税が垂れ流されている実態を暴く。

#5
鉄道業界には、JR東海の葛西敬之名誉会長と安倍晋三元首相がけん引した「葛西・安倍案件」と呼ばれるプロジェクトが二つある。3兆円の財政投融資を活用するリニア中央新幹線と、日本が米国に5000億円の融資を申し出た対米リニア輸出だ。巨額融資を引き出すなど権勢を振るった葛西氏の人脈をひもとく。

#4
JR東海は取引業者に対して強い態度で交渉することで有名だ。日系の鉄道車両メーカーの中では、日立製作所はJR東海と蜜月の関係を維持しているが、川崎重工業と三菱重工業はリニア中央新幹線のプロジェクトから撤退するなど対応が分かれている。JR東海とメーカー各社との距離感に迫った。

#3
JR東海の「皇帝」、葛西敬之名誉会長は、いかにして30年近く同社を支配したのか。従順な子分たちを量産する葛西流の役員人事の“奥義”を明らかにするとともに、脱・葛西シフトに向けた金子慎社長の小さな一歩について解説する。

#2
JR東海のリニア中央新幹線プロジェクトの最大の障害となっているのが、静岡県から工事着工の同意を得られていないことだ。県とJR東海の関係はこじれにこじれている。だが、両者の関係悪化の要因は、論争の的となっている大井川の水減少問題だけではない。JR東海の「上から目線」と「国益至上主義」がどのように関係自治体の神経を逆なでしてきたかや、両者の関係修復のポイントに迫った。

#1
JR東海の葛西敬之名誉会長が、亡くなる直前まで部下らにげきを飛ばしていたのがリニア中央新幹線のプロジェクトだ。リニアは技術面や収益面で課題が多いため、JR他社からは「トップ交代後に計画が軌道修正される」とみられていた。だが、財政投融資から3兆円の投入が決まると、計画の見直しは困難になった。建設コストの高騰や旅客数の減少が追い打ちを掛けて採算が見通せなくなっているリニアの実態を独自試算で解明する。

三重県のJA津安芸が、職員に残業代を支払っていなかったことがダイヤモンド編集部調べで分かった。この農協では、職員が営業ノルマを達成するために本来、不要な保険に加入する“自爆営業”が横行している。JA津安芸以外でも、自爆営業が横行している農協で労働基準法違反が複数発生している。自爆とサービス残業の二重苦を職員に強いる“ブラック農協”は、人材流出に歯止めがかからなくなる大問題に直面している。

JA共済「自爆営業」平均額は月5.4万円!?職員ら1386人の声で判明した“ワーストJA”
『週刊ダイヤモンド』11月5日号の第1特集は「JAと郵政 『昭和』巨大組織の病根」です。農協と日本郵政は、いまや「変われない組織」の代名詞です。問題は、前時代的なノルマ営業や“自爆推進”だけではありません。耳を疑うような露骨なパワハラやセクハラが横行し、それらを隠蔽(いんぺい)する古い体質も温存されたままです。若手の職員や社員から見放されつつある巨大組織の病根を徹底解明します。

三菱電機が1年4カ月の調査の末に、品質検査不正に関する報告書を公表した。これまでも中間報告などを行っており、調査結果の発表は4回目となる。同社は、その最終報告書で、柵山正樹前会長が不正に直接関与していた事実を明らかにした。なぜ柵山氏はもっと早く不正を認めなかったのか――。その理由にこそ三菱電機の闇が隠されている。

インサイダー取引を行った事実を認めながら、農協会長の座に居座っていたJAならけんの中出篤伸氏が正式に辞意を表明した。だが、来年9月まで経営トップの座に残留することや、院政を敷く動きを見せていることに組織内外から強い反発が起きている。

#15
2023年夏、JAグループの役員改選が行われる。注目はグループの司令塔であるJA全中の会長選挙だ。有力候補が下馬評通りに当選すれば、JAグループの自民党農林族への依存はさらに深まり、農協改革は停滞しそうだ。農協の命運を左右するトップ人事を巡る勢力争いに迫る。
