三菱電機は2022年10月、品質検査不正が発覚してから1年4カ月にわたって実施した調査の報告書を公表した。三菱電機はこれを節目に、事業の立て直しや成長のフェーズに移れるのか。特集『総予測2023』の本稿では、同社の漆間啓社長に、経営再建の課題を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
利益目標を下方修正した車載機器は
製品の取捨選択を断行する
――2023年の景気はどうなるとみていますか。
ウクライナ危機などで落ち込んだ経済がやっと回復しようというとき、中国における新型コロナウイルス対策のロックダウンで頭を抑えられている状況です。
半導体市況も軟化。工作機械も拡大傾向に頭打ち感が出ています。
――米中対立が激化していますが、中国での製造を見直しますか。
中国の工場は、可能な限り中国市場向けにします。中国から日本や欧州に一部輸出しているので極力、地産地消に持っていきます。
――品質不正問題は、弁護士らによる社内調査をまとめ、一定の総括を終えました。次は、グループ会社の調査を実施します。進捗と課題を教えてください。
グループ会社41社に初歩的な調査を行い、うち半分弱は詳細な調査を実施した方がいいと判断しました。いまのところ不正は見つかっていません。不正の有無にかかわらず、23年3月末をめどに結果を公表したいと考えています。
――品質不正が発覚してから従業員エンゲージメントスコア(会社への貢献意欲、他者への入社推奨などの質問に前向きな回答をした社員の割合)が低迷しています(同スコアは20年は60%台だったが、品質不正の発覚後、54%程度に下落しその後横ばいで推移)。