工場で働くロボットの世界四大メーカーの一角を占める安川電機は、新型コロナウイルス発生後、3期連続で増収増益を見込む。特集『総予測2023』の本稿では、安川電機の小笠原浩会長兼社長に、同社の強みである“データドリブン経営”の秘訣を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
23年のFA業界は薄曇りだが
大きな需要減は見込まず
――2023年の景気はどうなりそうですか。
FA(ファクトリーオートメーション)業界は薄曇りですね。雲は何かといったら、米国経済です。インフレと高金利で景気は間違いなく悪化します。
もう一つは、米中摩擦で半導体製造装置が減ります。米政府から(中国へ)売るなと言われたら作れないですから。
――中国経済はどうでしょうか。
天気予報はできません。晴れたりひょうが降ったりするような天気ですから。さらにゼロコロナ政策への反対運動で読みにくくなりました。ただ、中国政府は景気対策を打つとみられるので土砂降りにはならないでしょう。
欧州はウクライナ危機にはだんだん慣れてきますが、電気料金の高騰などの問題があるのでイケイケどんどんにはならないはずです。
日本はそういう状況の中で、ぼちぼちという感じです。
――顧客の業界別の投資の状況はどうなっていますか。
一般的に、23年は「非常に弱い状況」だと予想され、工作機械が減るなどしていますが、足元の減少は在庫調整分だけで、大きな需要減のトレンドには見えません。下振れがあるとすれば買い替えが減ったスマートフォンぐらいです。
――経営データをほぼリアルタイムで可視化するシステムを構築したそうですね。