永吉泰貴
#2
11月26日、全国の地方銀行に激震が走った。純投資に変更した政策保有株について、金融庁が過去5年分にさかのぼって開示させる方針を示したのだ。実質的に政策株であるにもかかわらず純投資に振り替える “保有株ウォッシュ”の疑念が地銀を中心に渦巻いていたことに対応した措置だ。この問題を担当してきた新発田龍史審議官に、銀行が政策株を保有する問題点について聞いた。

#12
7月31日に日本銀行が追加利上げに踏み切り、株価や為替は乱高下した。市場の変化は、地方銀行の運用成果にも影響する。そこで、4~9月の半年間で運用パフォーマンスのランキングを作成した。すると、前期は上位だった地銀が軒並み下位に転落。これまで勝ち組に見えた地銀の足場は意外にも脆いことが分かった。

11月16日、熊本県でバスや鉄道を運行する5社が、全国交通系ICカードの利用を取りやめた。廃止当日に各所を取材すると、圧倒的な勝ち組の存在も明らかに。全国の自治体が熊本に注目する真相を探った。

地方銀行最大手の横浜銀行などを傘下に持つコンコルディア・フィナンシャルグループ(FG)。同社のIR(投資家向け情報提供)は、日本IR協議会の「IR優良企業賞」や東京証券取引所の「資本コストや株価を意識した経営」の好事例集に選定されるなど定評がある。地銀業界で特に注目が集まっているのは、PBR(株価純資産倍率)やROE(自己資本利益率)のロジックツリー、企業への貸し出しなどのリスクに対してどれだけ収益を上げられているかを示すRORA(リスクアセット利益率)の重視を掲げたことだ。財務担当の小野寺伸夫代表取締役に、ロジックツリーを公表した経緯や海外投資家との対話方法について聞いた。

2024年の株主総会において、地方銀行全頭取の株主賛成率ワースト1位だったのが大分銀行の高橋靖英頭取だ。高橋頭取は今年の株主総会後に正式就任したばかりだが、のっけから厳しい船出となっている。そこで、株主から不評な理由や挽回策について、高橋頭取本人に話を聞いた。

上場している地方銀行は70社以上もあり、投資対象の絞り込みが難しい。そこで、益出し余力やPBR(株価純資産倍率)などの指標を設定し、上場地銀全73社の「投資妙味のある“金持ち地銀”ランキング」を作成した。益出し余力が十分にありながら市場への期待度が低い、投資妙味のある地銀はどこか。

TSMCの熊本進出により、九州の地銀間で資金需要の争奪戦が激化することは必至だ。熊本県で盤石の地位を築いてきた肥後銀行は、この僥倖でも他行を圧倒できるのか。肥後銀行頭取のインタビュー・後編では、半導体サプライチェーンでの成約件数や、熊本に続々と進出する台湾企業との取引状況について聞いた。

投資家の井村俊哉氏は2022年に地方銀行の大株主となったものの、政策保有株を巡る経営陣の対応に失望し、地銀の株を全て売却。その後、金融庁に制度改革を訴えている。インタビュー後編では、井村氏が不誠実だと指摘する「政策株の隠蔽(いんぺい)行為」と、それを防ぐ方策について聞いた。

2022年に地銀の大株主リストに名を連ねて注目を集めたのが、元手100万円をわずか6年半で1億円に増やし、23年末に通算獲得利益が85億円に達した個人投資家の井村俊哉氏だ。同氏は既に地銀株を全て売却しているが、その背景には投資先の地銀に対する深い失望と本邦のガバナンス改革への危機感があった。井村氏が「憤りを感じた」と語る地銀の行為や、経営陣との間で交わされたやりとり、金融庁へ制度改革を訴えるに至った真意について、ロングインタビューでお届けする。

熊本県内の鉄道やバスで、「Suica(スイカ)」などの全国交通系ICカードが廃止される予定だ。この廃止に伴い、虎視眈々と地域通貨構想を練っているのが、県内で圧倒的なシェアを誇る肥後銀行だ。同行トップの笠原頭取に「くまモン!pay」開発に至った背景や、地域通貨として利用してもらうための方策について聞いた。

今年6月、岐阜県や愛知県を地盤とする大垣共立銀行の頭取に、林敬治氏が就任した。同行はPBRが0.3倍以下となるなど、収益力や市場評価に課題がある。林頭取は、今年4月から開始した新中計でどう巻き返しを図るのか。さらに、金融庁が問題視している政策保有株の「見せかけ疑念」について、林頭取は明確に否定。その真意に迫った。

地方銀行で政策株を純投資に振り替えるケースが急増している。そこでダイヤモンド編集部は、上場している地銀の振替額を集計し、金額が大きい順に地銀49行のランキングを作成した。上位にランクインした銀行はどこか。また、ランキング上位の地銀には見せかけの疑念について直撃し、振り替えを行う地銀の事情を探った。

#11
われわれ消費者は、ネット通販で「送料無料」や「即日配送」を当たり前のように選ぶ。しかし、消費者にとって便利なサービスは、ドライバーの長時間労働や低賃金の上に成り立っている負の側面もある。物流2024年問題の根本要因を振り返り、これまで当たり前だった物流は今後も持続可能なのかについて徹底検証する。

上場地銀73行の2024年度第1四半期決算は、全体の8割が増益、赤字ゼロの好決算となった。23年度決算に続き地銀が好調だった要因は何か。さらにゴールドマン・サックス証券の試算を基に、7月31日の日本銀行の追加利上げが大手地銀の純利益に与える影響を公開する。

7月31日の日本銀行の追加利上げについて、物価研究の第一人者である渡辺努・東大教授は「利上げの時期が適切か否かというレベル以前に、経済学の初歩的な観点から全く理解できない」と厳しく批判した。その真意と、追加利上げが今後の物価に与える影響について聞いた。

政策保有株式縮減の流れは、地方銀行にも波及している。そこで上場地銀全73行を対象に、投資家が見るべき時価ベースの「政策保有株式」純資産比ランキング2024を作成した。すると、縮減をアピールしている地銀も、純資産に占める時価ベースの政策保有株式の割合は、依然として投資家が満足する水準に至っていないことが分かった。

「リテールNo.1」実現を目指すりそなグループが、2018年2月から提供を開始している「りそなグループアプリ」。目標としていた1000万ダウンロード(DL)は達成間近だ。今後のアプリのさらなる活用や十六銀行(岐阜県)をはじめとした地域金融機関との提携をどう進めていくのかについて、南昌宏社長に話を聞いた。

2024年の株主総会は、過去最多の株主提案が行われるなど、大いに盛り上がった。そこで、全国の地方銀行において、選任議案の対象となった頭取の賛成率を集計。ワーストランキングを作成した。最も低かった地銀はどこか。PBRやROE、配当性向などの指標と併せて分析した。

#6
欧米の金利上昇により、多くの国内金融機関が外債運用で多額の含み損を抱え、2024年3月期決算で売却損を計上した。そんな中、巨額の債券売却益を計上したのが愛媛県の伊予銀行だ。なぜ他行に大差をつけることができたのか。いよぎんホールディングスの三好賢治社長に、海外の金利上昇を味方に付けられた背景や、今後の運用方針を聞いた。

#4
アクティビスト(物言う株主)をはじめとした株主の動きが活発だ。銀行業界も例外ではなく、政策保有株を多く抱える銀行や、低PBR(株価純資産倍率)&低ROE(自己資本利益率)から脱却できない銀行は、今後アクティビストの標的になりかねない。そこで、金利上昇期待によって好調を維持している銀行株の中で、市場評価が著しく低い銀行をあぶり出した。
