悪酔い&二日酔いしやすい日がある

 普段からするとなんともない量の酒を飲んだだけなのに、二日酔いや悪酔いしてしまう日があるでしょう。それは、ほぼ間違いなく心身ともに疲れがたまっている日です。

 肝臓のアルコール分解は、次のように行なわれます。

 まず、アルコール脱水素酵素(ADH)や他の酵素により、アルコールをアセトアルデヒドに分解します。アセトアルデヒドは、悪酔いや二日酔いの原因ともなる有害物質で、顔面紅潮、動悸、吐き気、頭痛などの症状を引き起こします。

 そして、アセトアルデヒドは、肝臓内のアルデヒド脱水素酵素(ALDH)により、無害な酢酸へと分解されます。この酢酸は血液によって全身をめぐり、最終的には水と二酸化炭素に分解され、汗や尿、呼気となって外へ排出されます。飲酒後に息が酒臭くなるのは、この働きによるものです。

 肝臓の機能が落ちている時は、この一連のアルコール分解作用も遅れがちになります。肉体が疲れている時は、肝臓も間違いなく疲れているのです。食べ過ぎ・飲み過ぎ、睡眠不足、ストレス、働き過ぎなど、日常的なハードワークの一つひとつは、肝臓の疲労につながっています。

 機能が低下した肝臓は、代謝や体内で発生した有害物を無害なものにつくりかえる「解毒」の役割を十分に果たすことができず、毒素が体内に蓄積されやすくなります。

 また、腹部内の多くの主要臓器とつながっている肝臓の機能低下は、全身の疲労に直結します。つまり、肝臓の機能低下は全身の疲れにつながるのです。

 とくに睡眠不足や病中から病み上がりの時は、肝臓も疲れています。また、出張後や、営業で一日歩き回った後、激しい運動後などは、肝臓への負担も増します

 肝臓はただでさえ忙しい臓器です。代謝も解毒も担って猫の手も借りたいようなところに、睡眠不足や病気の影響が重なると、老廃物の排出などがうまくできなくなり、肝臓の負担がますます増加します。これが肝機能低下の原因なのです。

 さらに、ストレスによって交感神経が緊張状態になると、肝臓をはじめ内臓を動かしている副交感神経がうまく機能せず、肝臓も混乱してうまく働かなくなります。これも肝機能低下の遠因になります。したがって、原則的に、疲れている時や寝不足の時は、深酒は厳禁です。

チェイサーの飲み方を知っているのが「大人」

スポーツドリンクと糖分で
速攻リカバリー

 ひどい二日酔いになってしまうと、その日1日が犠牲になることもありますよね。しかし、そんな中でもできることはあります。まずは、起床後にスポーツドリンクで水分補給してください。二日酔いの時は体内の水分が失われ、軽い脱水状態になっています。水よりも、体内に吸収されやすいスポーツドリンクがおすすめです。コーヒーやお茶は、カフェインによる利尿作用で、せっかく補給した水分が体外に出てしまうので控えてください。

 加えて、糖分を積極的に摂るように心がけてください。糖分は、アセトアルデヒドの分解に役立ちます。食欲は減退し、内臓もオーバーワーク気味ですから、りんご、バナナ、ゼリー、おかゆなど、胃に負担のかかりにくいものがよいでしょう。

 金曜日や土曜日に深酒して、休日に二日酔いになった場合は、安静にしているのが一番です。ポイントは、横になって体を心臓と同じ高さにしておくこと。アルコールの代謝は肝臓で行なわれるため、代謝に必要な血液を肝臓に集めることができるからです。また、脱水を助長するような運動やお風呂は控えるのが賢明でしょう。