汚れ仕事でもリーダー自らがやってみせる
トイレ掃除以外に私が行っていたのは、洗車です。
自動車販売店には洗車機があるのが普通ですが、当時私の店舗にはありませんでした。そのため、ホースとスポンジを使って、手洗いする必要がありました。
洗車もやはり若手の仕事です。水を使うので服が濡れますし、そこそこ重労働だから。しかし私は洗車も自ら進んでやっていました。
自動車販売店では1日に何十台も洗車しなければなりません。1台につき何十分もかけていたら、それだけで1日かかってしまう。だからできるだけ短時間で終わらせる必要があります。
それをわかっていないスタッフは、時間をかけて丁寧に洗車しています。それが当たり前のやり方だと思っているからです。
そこで私が短時間で終わる洗車方法の手本を見せるわけです。私のやり方でやれば、1人なら5分、2人でやれば2分半で終わります。
最初のうちはスタッフに、「なんで店長が洗車なんてやっているんですか?」「洗車をする店長なんて初めてです」などと言われましたが、私の洗車の仕方を見て、すぐに納得してくれました。洗車を効率化することで、他の仕事にかけられる時間が増え、それが結局は営業成績や顧客満足の向上にもつながります。
「やれ」というだけでは人は動きません。部下にやってほしいと思ったら、まず自分が行動に移すことです。
電話をすぐにとってほしいなら、リーダー自らが電話をとる。あいさつをきちんとしてほしいなら、リーダーが誰よりも元気な声であいさつをする。それが率先垂範です。
リーダーにとって部下はたくさんいますが、部下にとってリーダーは1人。その1人のリーダーがどのような行動をするか、部下は注意深く観察しています。
だからこそリーダーは、まず自らの行動で、自分が信頼できる人間かどうかを部下に示さなければなりません。
リーダーが率先垂範すれば、部下もそれに従って自発的に動くようになります。そうすれば、全員がリーダーシップを持った集団になれるのです。