「男はだまって○○」というお笑い芸人のネタがありましたが、リーダーこそメンバーにあれこれ言う前に、だまって行動したほうがいいという顕著な例を紹介します。ここでの問いは、「スタッフに何かをしてもらいたかったら、あなたは何をしますか?」です。新刊『トヨタの伝説のディーラーが教える絶対に目標達成するリーダーの仕事』から、その問いに答えていくとします。

スタッフはいつもリーダーの仕事を見ている

自ら率先して行動すること、つまり「率先垂範」はリーダーにとって不可欠な資質の一つです。

 棚の整理、共有スペースの清掃、ゴミ捨て、郵便物配りなど、下っ端がやるようなことを率先してやるのです。

 率先垂範の一つとして私がよく行っていたのは、トイレ掃除です。

 お店でもオフィスでも、専門の掃除業者が入っていない限り、トイレ掃除は従業員の仕事ですよね。

 たいていの場合、パートの方や一番下っ端の新入社員が担当しています。みんなトイレ掃除を嫌がるからです。

 しかし私は店長時代、自ら率先してトイレ掃除をしていました。朝・昼・夕方の1日3回。特にお客様の多い土日は5回も6回も、ぞうきんを片手にトイレに入っていき、ピカピカに磨き上げていました。

 すると、2つの効果が表れました。

一つ目は、お客様に喜ばれること

「おたくの店のトイレはいつもピカピカで気持ちいいね!」

 と、お褒めの言葉をいただいたことが何度もありました。トイレがきれいだからこの店で車を買うとおっしゃるお客様までいたくらいです。

 トイレというのは、接客サービス業や小売業にとって非常に重要な要素だと思います。販売目標の連続達成を成し遂げられた要因の一つには、トイレをいつも清潔に保っていたこともあると思います。

もう一つの効果は、私が何も言わずともメンバーが勝手にきれいにしてくれるようになったこと

 最初のうちは私ばかりがトイレを掃除していたのですが、そのうち私より先に部下が掃除してくれるようになりました。

「店長にトイレ掃除なんてさせられませんから」と言ってくれたのは嬉しかったですね。

 これがまさに率先垂範の効果です。リーダーの行動を見て、部下は自ら何かを感じ取って、自発的な行動に移してくれたということです。