チームに与えられた目標は、数字上、個人目標の合算ではありますが、達成・未達が個人間で存在しようと、チームで100%達成すればいいのです。その一方で、突出したデキる人間がいると、チームは悪い方向に向かうことがあります。ここでの問いは、「なぜ、ひとりのデキる人間(個)を大事にするより、チーム(和)を重んじたほうが、結果を出すチームになるのか?」です。新刊『トヨタの伝説のディーラーが教える絶対に目標達成するリーダーの仕事』から、その問いに答えていくとします。
目標は2種類存在する
目標には、組織目標と個人目標があります。では個人目標を集計したものが組織目標になるのかというと、そうではないと考えています。
たとえばAさん、Bさん、Cさんがいて、全員が個人の目標を達成できれば、それらを合計してチーム全体の目標が達成できる。だから個人個人が目標達成に向けて頑張ろう。……これは事実として間違ってはいません。
間違ってはいませんが、チームとしては危険です。メンバーそれぞれが自分の目標だけを追い求めればいい、という考え方になってしまうからです。
Aさんは目標にギリギリ届いた。Bさんは少し届かなかった。Cさんは目標を少し上回った。結果としてチーム目標を100%達成した。これでいいわけです。
リーダーとしてチームを率いている以上、チームの目標を達成させるのがミッションです。そこで大事なのは、メンバーがお互いをカバーすること。Aさんの手が回らなかったらBさんとCさんがカバーする、というように助け合う体制を整えておくことが大切です。
トップセールスなんていらない!
私はトヨタの店長として48ヵ月連続で販売目標を達成しましたが、当時の部下には、全社ランキングに入るようなトップセールスは1人もいませんでした。むしろ平均レベル以下のメンバーが多くいました。
じつはそこが大きなポイントです。
チームとして連続で目標を達成するために、成績優秀なトップセールスがいる必要はありません。いえ、むしろトップセールスなんて正直言って邪魔なんです。
なぜか。トップセールスがいると、リーダーも他のメンバーも、その人に頼ってしまい、自分の力を十分に発揮できなくなってしまうからです。
トップセールスが頑張ってくれているうちはいいのですが、その人がコケたとき、チーム全体がコケてしまいます。また、力を付けたトップセールスは、もっと給料のいい会社に転職することもあります。いずれにしても、チームとして連続で目標を達成し続けることが困難になるわけです。