「人づて採用」にも
「職場づくり」が効く

以上の内容を読んで、「よし、明日もう一度、バイトの○○君に『いい人』がいないか聞いてみよう!」と思った方もいるかもしれません。アクションを起こすことはすばらしいですが、そこで何より注意しないといけないのは、「そもそも『友人・知人にすすめたい』と思ってもらえるような職場をつくれているか」でしょう。さもないと、冒頭のダイアローグのようなことになりかねません。

あるいは、「以前からみんなに『いい人を紹介して』と言っているのに、一向に誰も連れてこない…」と嘆いている店長は、もう一度考えてみてください。あなたがスタッフだったら、友人・知人にその職場を紹介したいと思いますか?

つまり、人づて採用の基本もやはり「職場づくり」なのです。スタッフが他人に紹介したくなるような職場がつくれていて初めて、芋づる式に採用の輪が広がる好循環が生まれます。

先ほど紹介した「歴代の大学サークルメンバーが働く飲食店」も、実際に伺ってお話を聞いてみると、店長さんが学生アルバイトたちから厚い信頼を得ている雰囲気がひしひしと伝わってきました。「この店長がいる店なら、かわいい後輩たちにも自信を持ってすすめられる」―そんな実感があるからこそ、先輩から後輩へとバトンが渡り続けているのでしょう。

「人にすすめたくなる職場」の特徴は?

では、人手に困らない「人にすすめたくなる職場」には、どんな特徴があるのでしょうか?これについての調査では、下図のような結果が得られました。

■職場の推薦意向を左右する特徴

ここから浮かび上がってくるのは、時に厳しく叱ったりしながらも、スタッフをしっかりと育てようとしている店長がいて、研修・教育も整っていて、長期にわたって安心して働ける職場の姿です。つまり、個人としての成長の機会がしっかりと用意されており、自分自身が「これからもここで働き続けたい」と思える職場ほど、人にすすめたくなるということです。

これは当たり前といえば当たり前ですが、意外といえば意外な結果です。求人広告などでは「アットホームな職場です。楽しい仲間たちと一緒に働きませんか?」などといった謳い文句が多用される傾向がありますが、職場を友人・知人にすすめるかどうかを判断するときには、こうした「仲良しグループ」的なノリはさほど考慮されていないことが見て取れます。

「職場の人間関係への満足度」よりも「仕事内容への満足度」が、友人紹介のモチベーションを左右するというのは、意識しておいたほうがいいポイントでしょう。

まとめ
□「紹介採用」のほうが採用効率は高い
□「職場づくり」が最大の「人づて採用」対策になる
□「ここで働き続けたい」と思える職場ほど、人にすすめたくなる