試験で求められる2つのこと
――覚えてきているか、思い出せるか

 これまで私が受けてきた試験のなかで、最も難関だったのは、言うまでもなく司法試験です。私は、その司法試験に短期間の勉強で一発合格することができました。

 しかしながら、私は、決して優秀な子どもではありませんでした。

 貧乏なヤンキー一家に生まれ、小学5年生まで九九も覚えられず、高校では偏差値30の学年ビリ。髪を金髪にして不良仲間と遊び、二浪の末、奇跡的に地方の国立大学に入学しました。いわばどうしようもない「落ちこぼれ」でした。

 とはいえ、決して勉強してこなかったわけではありません。ある程度、勉強はしていたのに、結果が出なかったのです。

 そんな私が、なぜ司法試験に合格できたのでしょうか?

 理由はただ一つ。勉強法を変えたからです。いくつかの勉強法を研究し、自分なりに試行錯誤して、結果を出せる勉強法を編み出したからです。

 前述した通り、試験は、先人たちの知識や経験をいかに真似して、それを披露できるかが問われる場です。つまり、真似したことを覚えてきているか、思い出せるかが結果を左右します

 そこで私は、この「真似る」という発想から、試験の過去問をひたすら真似る、つまり「暗記する」という方法を思いつきました。みなさんは、教科書や参考書を読んで理解することから始めるのが勉強だと思っているでしょう。しかし、それでは理解するまでに膨大な時間を費やしてしまいます。

覚えたことを記憶にとどめ、引き出す仕組みをつくる。たったそれだけで、どんな試験も突破できるのです。

そして、社会で求められるたった1つのこと
――結果を出せるか

 真似したことを覚えて、思い出しさえすれば、試験には合格できます。しかし、それはゴールではありません。むしろ、これから進む道のスタート地点です。

 ところが、多くの人は、試験に合格するとそれで満足してしまいます。「やっと受かった!」と喜び、今まで続けてきた勉強をそこでやめてしまいます。それでは、せっかく学んだことを忘れてしまい、自己成長することもできません

 試験で求められるのは合格することですが、社会に出てからは何が求められるのでしょうか?