すでに私立大では、推薦入試とAO(アドミッションズオフィス)入試合計で、入学者が5割を超えるというのが一般的になってきている。それを最難関の東京大が導入したため、驚きが大きかったようだ。

 この改革の背景には、東京大の関東ローカル化への懸念があると見られる。10年前に首都圏の1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)からの合格者は、大学通信の調査によると44.8%だったが、今年は55.2%に増えた。今後、「2018年問題」と言われるように少子化はさらに進む。一極集中だと、当然のことながら入学者のレベルダウンが進んでしまう。

 そこで、地方の優秀な受験生を集めようというのが推薦入試実施の狙いだ。さらに、女子学生の割合も高めようとしている。東京大は来年から女子学生に3万円の家賃補助を行うことを決めたのだ。推薦入試を実施することで入試負担を軽くし、地方と女子受験生の受験を促そうという狙いだ。

推薦といえども
レベルの高さは変わらず

 ただ、その出願条件を見るとかなり厳しい。

 理学部の今年の推薦要件を見ると、「自然科学に強い関心を持ち、自然科学のひとつ若しくは複数の分野において、卓越した能力を有することを示す実績があること(実績の例:科学オリンピック<数学、物理、化学、生物学、情報>、高校生科学技術チャレンジ、日本学生科学賞など、国内外で開催されたコンテストへの入賞、商品レベルのソフトウェア開発経験、科学雑誌への論文発表など)。なお、国際活動、社会貢献活動、芸術・文化、スポーツなどでの意欲的な活動やリーダーシップを発揮した実績も評価に加味します(実績の例:在任中に顕著な活動を行った生徒会会長、全国大会レベルでの入賞を果たした部やクラブで主導的な役割を果たしたものなど)」というものだ。

 他学部も同じように求めるレベルは高く、これに該当する受験生はどれぐらいいるのかと思ってしまうほどだ。

 そして、この推薦入試で入った学生は入学後、一般入試組とは違った進路を歩むことになる点も特徴的だ。東京大の一般入試合格者は、文科I~III類、理科I~III類のいずれかを受験し、3年次に進学選択を経て学部に進学する。理科III類は医学部に進学する学生が圧倒的に多いが、他学部に進路変更することも可能だ。それが推薦入試では学部募集なので、最初から進学先が決まっているのだ。

 この方式について、首都圏の進学校の進路指導教諭は「東京大の駒場で行われる2年生までの教養教育がよく、そこでしっかり学ぶことで3年進級時に学部を選べるのに、最初から学部が決まっていることに抵抗のある生徒が少なくなく、やはり一般入試で受けたいと考える生徒が多いようです」と言う。