ナバズタグ
愛らしい姿が目を引く「ナバズタグ」。モニターとして協力すると1万9800円で購入できる。

 長い耳にキュートなスタイル――「ウサギ型のテーブルライト?」と思ってしまいそうな外観だが、じつはこの商品、無線LAN機能を実装したロボットである。

 フランス「Violet社」が開発したもので、名前を「Nabaztag(ナバズタグ)」という。2005年の発売以来、フランスを中心に32万台を売り上げたという人気のウサギなのである。

 この「ナバズタグ」が、1月29日に日本にも上陸。総輸入販売元は、癒し系ロボット「ifbot」や恐竜ロボット「PLEO(プレオ)」等の企画・開発・販売を手掛けてきた「ビジネスデザイン研究所」。価格は24800円(税込)と、既存のロボットに比べて破格の安さだ。それでいて、様々な可能性を期待させる魅力に溢れているのである。

 主な機能は大きくふたつに分類される。ひとつは、メールやRSSフィード、気象情報や日経平均株価を読み上げたり、ポッドキャストを聴くといった「情報端末」としての使い方である。取得した情報を“音声”に変換してくれる点は「ナバズタグ」の大きな特徴で、これであれば、家事をしながらでもネットから情報を得ることができる。PCや携帯を開き、モニターと向き合うという手間が解消されるわけで、これはつまり、従来のネットとの付き合い方が変わるということでもあるだろう。

 もうひとつがコミュニケーション機能で、こちらはメールの読み上げだけでなく、ボイスメッセージや音楽ファイルなども相互に送受信できる。ユニークなのは「結婚」をすると、結婚相手の「ナバズタグ」とおしゃべりができるという点だ。「おしゃべり」といってもこの場合は音声ではなく、自分の「ナバズタグ」の耳を動かすと、相手の耳も同じ動きをするというもの。例えば、遠くで暮らす祖父母がウサギの耳を動かすと、孫の家のウサギも動き、それで祖父母の息災がすぐにわかるといった活用法なぞいかがだろう。

 また、オリジナルのアプリケーションも作成できるので、自分だけの「ナバズタグ」を作り上げることもできる。そのほか、日本でのサービス・インは未定だが、「ナバズタグ」にはRFIDリーダーが内蔵されており、ICタグを読み取ることも可能だ。ヨーロッパでは既にRFIDチップを埋め込んだ絵本が販売されていて、これを鼻先にもってくると、ウサギが絵本の読み聞かせをしてくれるという仕掛けも実現されている。

 さらにフランスでは、著名デザイナーたちが衣装を競作したり、ユーザーたちも思い思いのファッションやペイントを施して愉しんでいるという。そこには、ユーザーたちの並々ならぬ「愛着」が見て取れる。「ナバズタグ」が、「ITガジェット」というよりも「ペット」や「パートナー」に近い感情をユーザーに与えるとするならば、それは人間とロボットの未来を占う試金石になり得るのではないだろうか。日本ではどのように受け入れられるのか、括目して待ちたい。

(中島 駆)